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MyFrenchFilmFestival.com

22 1月 2015 へ 04:54

「ヒポクラテスの子供達」 : 「Télérama」誌による映画批評

マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」のパートナー、「Télérama(テレラマ)」誌による、コンペティション部門出品長編作品に関する批評記事をご紹介します。

 

 

本日の批評作品 :

ヒポクラテスの子供達
トマ・リルティ監督、2014年、ドラマ作品
キャスト : ヴァンサン・ラコストジャック・ガンブランレダ・カテブ  他
フランス公開 : 2014年9月3日

評価 : 4/5

 

シノプシス


バンジャマンは、内科医療センターでインターンとしての実習第一日目を迎えていた。センター長は父親のバロワ教授だ。医師としてようやく実践現場に第一歩を踏み出したバンジャマンにとって、すべてが新たな発見に満ちた経験であった。同僚のインターン医で、アルジェリア出身のアブデルは、年上で、能力も高く、人間としての経験も豊富。ある晩、バンジャマンが夜間当番をしていると、ルモワンヌというアルコール中毒の患者が激痛に襲われた。設備の機能が不足する中、仕方なく鎮痛剤を投与して、とりあえずは事なきをえる。ところが翌日、この患者は死んでしまう。上司たちはバンジャマンのミスを隠蔽するが、同僚のアブデルは何か疑いを持っているようだ。亡くなったルモワンヌの妻も、納得がいかず、説明を求めている。バンジャマンは、医師としての自分の未来に不安を感じ始める。

 


フランスでも大人気のテレビドラマ、「ドクターハウス / Dr.House」や「グレイズ・アナトミー」。フランス人は、実際には医者嫌い(というよりも病院がこわい)であっても、アメリカの医療ものドラマは大好きなようだ。こうした派手で現実離れしたドラマは人をたやすく魅了するが、「ヒポクラテスの子供達」はそれとはまったく異なり、非常にフランス的なスタイルで観客を惹きつける。社会描写を背景に、ひとりの青年の成長を追う。トマ・リルティは、映画監督にして実際に医師でもあるという、世界でも類を見ない稀有な存在だ。二本目の長編監督作品となる本作では、自身の医学生時代の思い出に材料を得た。

インターン試験に見事合格したバンジャマン。最初の実習先に選んだのは、高名な医学者である父親が勤務するパリの病院だった。プライドが高く、野心家のバンジャマン。「ゴリオ爺さん」のラスティニャック青年のようだが、さっそく現実の厳しさを知ることになるのだった。現代のフランスにおける、医療という聖職の、そのほぼ破綻した状況。同僚であり、よき助言者でもあるアブデル(いつもながらレダ・カテブの演技が冴えている)はこう言う。「医者という仕事は、宿命を引き受けるということ。」

病院というカースト社会が、適度な距離と客観性をもって描かれている。外国人医師が年々増えているが、彼らはフランス人医師よりも過酷な条件下で働いている。介護士たちは、患者の世話をするよりも、無用な書類の記入に追われている。ベッド不足から、主任医師(マリアンヌ・ドゥニクールの演技が素晴らしい)が冷酷な決断を取らざるを得ないことも少なくない。
しかし、こうして現実を詳細に映し出すというドキュメンタリー的要素が前面に出過ぎることはなく、作品をまとめているのは、やはりバンジャマンの成長という一貫した大きな物語だ。バンジャマンは、二人の患者の死の責任を引き受ける。一人目は、機器の故障という思いがけぬ事態による過失の死。二人目は、長い苦しみに疲れ果てた老女を解放するための、計画的な死。 (フランスで2005年に策定された終末期医療の権利法、「レオネッティ法」だが、現場における実行がいかに厳しいものであるかが、間接的ではあるがしっかりと提示されており、心が揺さぶられる。)

主人公バンジャマンが成長してゆく姿は、そのまま俳優ヴァンサン・ラコストの成長でもある。ラコストにとって、100%シリアスな役は今回が初である。リアド・サトゥフの「思春期 / Les beaux Gosses(原題)」で見せた不器用さ、ちょっと世間知らずな若者の表情、そしてジュリー・デルピーの「スカイラブ」で面白おかしく演じて見せた、自信たっぷりの勘違いナンパ男。すべての顔がここに生きている。そして、この作品で主人公の青年が乗り越えなければならない人生の試練は、ラコストにとって、演技力をさらに広げ、これまでに表現したことのなかった感情と向き合う機会となった。欠点も少なくないが、いつまでも見守っていたくなるような、そんな矛盾に満ちた主人公の、少し卑怯な顔、実存的な不安。それらが非常に上手く表現されている。

 

サミュエル・ドゥエール   (「Télérama(テレラマ)」誌)

© Télérama

Author : Aurélie Padovan

最終更新日 : 26 1月 2015 へ 04:54 CET

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