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映画祭、イベント

18 6月 2005 へ 15:22

東京発:『斧』女優カリン・ヴィアール:インタビュー

今年の映画祭で、オープニングを飾った団長、コスタ=ガヴラス( Costa-Gavras  )監督の新作『 Le Couperet / 斧 』。普通の男を連続殺人へと駆り立てた心の闇を描いた本作で、男の妻を演じるカリン・ヴィアール( Karin Viard )が来日した。

Q:日本に来ていかがですか?
A:とても身近に感じると同時に、エキゾティックな感じがします。好奇心という意味では、日本もフランスもお互いに興味を持ち合えると思います。

Q:映画についてもそうですね。
A:まさにその通りですね。今回で3度目の来日になりますが、映画についても、“フランスってこうなんですか?”とか“映画に描かれているフランスの家庭は、現実に近いんですか?”という質問をいつもいただきますね。私の場合は、アジアの映画を観ると同じように感じますね。

Q:文化を反映した映画というのは、異文化に暮らす人間から観るととても面白いものですね。今回出演された『斧』という作品にもフランスの家庭がとても見事に描かれていますが。
A:そうです。パリにいる日本人の方は服装にものすごく気を使っていて、ちょっと過剰ではないしらと感じたりもしますし、フランス映画の中には、実際に彼らのカリカチュアも登場します。でも、日本に来ておもてなしをいただき、実際に日本に暮らす方々と接すると、また違う日本への印象を持ちますね。日本に来ると、優しさとか慎み深さ、柔らかさをとても感じます。

Q:『斧』についてですが、出演のいきさつは?
A:監督は何人かの女優に会い、それぞれと話をしました。私は、私なりにどのように仕事をするかを話しました。そして、私に決めてくれたんです。

Q:どのように役を演じたいと考えていたのですか?
A:私が演じたのは主役を助ける役、つまり脇役になります。ですから、一番大切なのは、どのように主役と関わっていくか。それを第一に考えました。そして、私自身の人格を通してキャラクターを作り上げるわけですから、映画で描かれる以前のことも念頭に置きました。私が演じた主人公の妻はとてもモラルがある女性で、夫がしていることは本来ならとても受け入れられない。ですから、家庭の中に存在するものはすべて、夫が行ったことによりすべて失われかねない。そんな夫婦関係を思い描きました。

Q:夫婦は支えあっているように見えますが、危うさを感じるのはそのせいですね。
A:確かな信頼関係はあったし、愛があったけれども、嘘がそれを危うくしてしまうのです。ただ、映画の中では妻は夫が隠している重大な嘘には気づいていません。正確には何が起こったのかも知らされない。でも、私なら、何か変だなと思うことがあれば追求しますね(笑)。私自身、夫も子供もいますが、強い自分自身を持っていますから。ですから、何かおかしいと感じれば、その感情を隠したりしないでしょうね。彼女もおかしいとは感じているのですが、何か危機を感じて、現在のバランスが崩れてしまうのではないかと恐れている。家族を守りたいという気持ちが、あのような態度に表れたのです。

Q:作品全体には失業や犯罪といったシリアスなテーマがありながら、どこかにコミカルなムードが漂っていて、それがこの作品をユニークなものにしています。連続殺人犯にも家庭があって、愛する妻がいて、子供もいて、ごく普通の人間だったという描写が見事ですね。
A:そうなんです! でも、それは誰もが気づくことではないんですよ。非常にバイオレントなテーマに対して、恐怖感を抱く人はたくさんいます。そういった人たちは、やはりこの映画で笑うということはしないですね。こういった独特でデリケートなムードが出せたのは、コスタ=ガヴラス監督だからこそ。もちろん、現場でもみんながそういうムードを出したいと望んでもいました。

Q:そういったムードを作り出すには、コミカルな役どころを多く演じてきた、主演のジョゼ・ガルシア( José Garcia )の功績も大きいですね。彼はどんな役者なのでしょうか。
A:とても寛大で優しく、争いごとが嫌いで、すべてを丸く治めようとしてくれる人。柔軟性があるので、お互いうまくやりたいという気持ちが強かったですね。いつも撮影現場では、笑っていました。

Q:コスタ=ガヴラス監督との仕事の感想は?
A:非常に集中力がある方で、仕事熱心。すべてのことが仕事に向く、そんな人です。自然な成り行きをとても大事にする方。そして、役者については、選ぶまでには時間がかかりますが、一度この人と選んだら、全面的に信頼を置いてくれます。私にもそうでした。ですので、非常に要求は高い。そして、私もそれに応えようと努力しました。役者とはそういうものですから。彼のことは、とても尊敬しています。監督としてだけでなく、ものの考え方、仕事の姿勢などについても。

Q:この作品に出演して、最大の収穫があったとすればそれは何ですか?
A:それに答えるのはとても難しいですね。この作品によって、自分に何がもたらされたかとはっきり語ることはできないと思います。いろいろな作品に出演し、経験がいくつも積み重なっていくことが役者の成長には大切なことだからです。でも、またもしチャンスがあれば、コスタ=ガヴラス監督との仕事はもちろんしたいと思います!

 横浜 フランス映画祭 - 2005 /  日本 

(取材・文:牧口じゅん)

Author : ユニフランス東京事務所

最終更新日 : 07 12月 2011 へ 15:22 CET

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