『サンローラン』、『メゾン ある娼館の記憶』、『ノクトラマ/夜行少年たち』などの作品で知られるフランス人監督、ベルトラン・ボネロが、審査員として第7回「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル「(MyFFF)」に参加しています!
ベルトラン・ボネロは、映画の世界に足を踏み入れる前にクラシック音楽の専門教育を受けており、フランソワーズ・アルディやジェラール・ドゥ・パルマス、ダニエル・ダルクといったポップスアーティストたちのアルバム制作に参加していました。やがて音楽活動と並行して短編映画を撮りはじめ、ピエル・パオロ・パゾリーニの死後出版となった自伝的著書をもとにした『Qui je suis』を制作します。
初の長編監督作品『Quelque choses d’organique』(日本未公開)は、1998年Berlin International Film Festivalに出品され、これからの活躍が期待される新たなジェネレーションの監督の一人として関心を集めました。
2001年制作の『ポルノグラフ』は、年老いたポルノ映画監督の孤独を容赦なく照らし出した作品で、ジャン=ピエール・レオが神経症気味の主人公を見事に演じました。この作品はカンヌの批評家週間に出品され、国際批評家連盟賞(FIPRESCI賞)を受賞しています。続いて2003年のカンヌ国際映画祭で発表された『Tiresia』では、性同一性障害のブラジル人男性を描き、やはり性的アイデンティティーというテーマを追及しています。
映画監督として制作を続ける一方、ベルトラン・ボネロは俳優としても作品に出演しており、また音楽家として自身の作品の音楽も手掛けています。
アーシア・アルジェントをキャストに迎えた短編『Cindy, the Doll is Mine』を撮り終えた後、2008年には、マチュー・アマルリック主演『De la guerre(戦争について)』を制作。同作はカンヌの監督週間で発表されました。
2011年には、官能が瀰漫する美しい作品『メゾン ある娼館の記憶』を制作。経済的に厳しい条件の中で完成され、ボネロにとっても転機となったこの作品は、メディアからの称賛を受け、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されています。
3年後の2014年には、かつて《モードの帝王》と呼ばれたファッション界の怪物、フランスのデザイナー、イヴ・サンローランの絶頂期を描いた伝記的作品とともに、再びカンヌに戻ってきます。『サンローラン』はカンヌではコンペティション部門に正式出品され、大変な高評価を得ましたが、2015年セザール賞でも、最優秀作品賞、最優秀監督賞など、10部門でノミネートされるなど、大成功を収めました。
翌年には、パリで起こったテロを想起させる『ノクトラマ/夜行少年たち』を制作。夜の街に集結し、破壊行動を起こす若者たちの刹那的な現実を、アートの鋭い視点で描き出しました。