フレンチシネマの最新情報
祝祭ムードのフランス映画
多数の作品を自国で公開中のフランス映画は、ここ数週間の熱波のため観客動員数こそ今ひとつでしたが、それでもなんとか窮地を脱しています。不本意な結果を残した作品もありはしたものの、フランス映画は観客動員数の減少に最も苦しんだというわけではないようです。実際、いくつかの作品では6月22日(日)から24日(火)に開催されたシネマフェスティバル期間中に動員数の著しい増加が見られました。
この3日間の期間中、昨年より22%少ない3百万の観客が映画館に足を運びました。開催日前日に催された音楽フェスティバル、加えて平均気温を上回る気候がこの結果をもたらした一因とも言えるでしょう。それでもお笑い二人組Kad とOlivierを迎えたEric Lartigau 初の監督コメディー「Mais qui a tue Pamela Rose ?」 を始めとして、いくつかの作品はシネマフェスティバルにより好成績を収めています。Gaumontにより製作、販売、配給された作品は、シネマフェスティバル開催中に70%の上昇を見せ、入場数757 528、420万ユーロの売上を記録しました。 このフェスティバルの恩恵を受けた第二のフランス製コメディーは女優 Isabelle Nanty 初の監督作品「Le Bison(バイソン)」、本人主演、Edouard Baer 出演の作品です。「Mais qui a tue Pamela Rose ?」と日を同じくして公開が始まった本作品は製作 Claude Berri、販売、配給 Patheで、現時点で動員数 457 271、250万ユーロの興行収入(シネマフェスティバル期間中に57%上昇)となっています。
別なジャンルでは、Bruno Podalydes監督、Why Not Productions製作、Wild Bunch販売「Le Mystere de la chambre jaune(黄色い部屋の謎)」が、公開2週間にして入場数40万(220万ユーロ)に近づいています。そして忘れてはならないのがSylvain Chomet作のアニメ映画「Les Triplettes de Belleville」(本年度カンヌ映画祭アウトオブコンペティション部門出品作)、全体的に不況の市場から見てかなり好調なスタートを切りました。Les Armateurs製作、Celluloid Dreams販売、カンヌ映画祭上映時に多くの注目を集めた本作品は公開2週間で約30万人(170万ユーロ)を動員し、口コミによるロングランが見込まれています。今年のシネマフェスティバルは新記録を達成できませんでしたが、夏のシーズン到来を前にいくつかの作品の後押しをしたと言えるでしょう。
5月中にリリースされた作品の中で、カンヌ映画祭での上映と共に公開が開始した2作品がフランスの観客を魅了し続けています。Fidelite製作、Celluloid Dreams販売、Francois Ozon監督、カンヌ映画祭コンペ出品作「Swimming Pool(スイミング・プール)」は、6月末の時点で入場数673 636(380万ユーロ)を記録し、80万人代に達しようとしています。一方Gerard Krawczyk監督、製作、配給、販売 EuropaCorp、カンヌ映画祭オープニング作品「Fanfan la Tulipe(ファンファン・ラ・チューリップ)」は入場数100万の大台をはるかに超え、6月末時点で 1 121 488人の観客(620万ユーロ)を動員しました。
第一四半期に公開された作品の数々は素晴らしい功績を残し、市場に波紋を投じつつ5月、6月にほとんど上映期間を終えています。そのケースとしてGad Elmaleh主演、Merzak Allouache監督作のコメディー「Chouchou(シュシュ、パリデビュー)」(入場者数380万、興行収入2120万ユーロ、シネマフェスティバル期間中1087%の上昇率!)、Marc Esposito作「Le Coeur des hommes(ミドルエイジ協奏曲)」(入場数約150万、840万ユーロの売上)、そしてRichard Berry作「Moi Cesar 10 ans 1/2, 1m39」(入場数約100万、560万ユーロ)の3作品が挙げられます。
二人の女流監督による初監督作品も素晴らしい結果を残しています。Valeria Bruni-Tedeschi (Gemini) 作「Il est plus facile pour un chameau... (ラクダと針の穴)」は入場者数約40万(220万ユーロ)を記録した一方、Pascale Pouzadouxは「Toutes les filles sont folles」(製作Alta Loma、販売Vision International)で25万の観客(140万ユーロ)を動員しています。
今夏劇場公開作品
グッドニュース、フランス映画は今夏巻き返しを図ります。実際、期待される作品の数々は夏の到来を待って公開されます。「La Repetition(リハーサル)」に続く、Jane Birkin、Emilie Dequenne、 Pierre Richard らオリジナルキャストを迎えたCatherine Corsiniの新作「Mariees mais pas trop」(7月9日から公開)。7月30日にはPhilippe Le Guay がVincent Lindon、Fabrice Luchini、Lorant Deutschとお届けする「Le Cout de la vie」、そしてDaniel Auteuil、Sergi Lopez、Emmanuelle Devos出演、Helene Angel監督作「Rencontre avec le dragon」は8月6日よりフランスで公開を開始します。 夏のバカンス終了時期には今年カンヌ映画祭コンペ部門に出品されたAndre Techine監督、Emmanuelle Beart主演の「Les Egares」(8月20日リリース)、Claude Miller監督、Ludivine Sagnier主演の「La Petite Lili(可愛いリリィ)」(8月27日リリース)の2作品が待ち受けています。
それ以外の作品も、今夏驚かせてくれる可能性は十分です。Benoit Cohen監督、Romane Bohringer、Mathieu Demy、Laurence Cote出演の「Nos enfants cheris」は今シーズンの掘り出し物との評判が高い作品です。その他Thierry Binisti作「L’ Outremangeur (過食症)」、Alain Guesnier作「Va, petite !」 、Denis Dercourt作「Mes enfants ne sont pas comme les autres」、Charlotte Silvera作「Les Filles, personne s'en mefie」、Jacques Otmezguine作「Une employee modele」、さらにはMichel Boujenah作「Pere et fils」など目白押しです。
フランス国内のフランス映画トップ5-2003年1月~6月
作品名 | 公開 | コピー数 | 入場数 |
売上 (ユーロ) |
Taxi 3(TAXi3) | 1月 | 969 | 6 150 841 | 33 829 625 |
Chouchou (シュシュ、パリデビュー) | 3月 | 402 | 3 852 902 | 21 144 032 |
La Beuze | 2月 | 408 | 1 934 481 | 10 639 645 |
18 ans apres (赤ちゃんに乾杯!-18年後) | 2月 | 630 | 1 512 859 | 8 312 298 |
Le Coeur des hommes (ミドルエイジ協奏曲) | 4月 | 400 | 1 492 488 | 8 184 142 |