本年度フランス映画祭の大目玉『Arsene Lupin / ルパン 』ジャン=ポール・サロメ( Jean-Paul Salomé )監督インタビュー!
作家モーリス・ルブランが1905年に生み出した「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン」が待望の完全映画化!「カリオストロ伯爵夫人」をベースに、ルパンの波乱万丈の生涯を、壮大なスケールで描いた心躍る冒険活劇ロマン!!
本作で脚本も手がけたというジャン=ポール・サロメ監督に早速お話を伺いました。
―Q.今年のフランス映画祭の目玉と言われている『ルパン』ですが、監督をする事になるまでの経緯を教えてください。
監督:「アルセーヌ・ルパンを出版された順に全集読んで、最初に読んだのが「カリオストロ伯爵夫人」だったのですがその中でルパンの若い時の事を語っていてそれに大変興味を持ったのです。それで、これは新しいルパンの神話が作れるかもしれないと思ったのがキッカケです。」
―Q.ルパン役のロマン・デュリス( Romain Duris )が素晴らしいほどハマリ役でしたが彼をキャスティングした理由は?又、彼の印象を教えてください。
監督:「シナリオを書き終わってからロマン・デュリスと同年代の若手俳優をたくさん集め、実際に35mmを使いカメラテスト(オーディション)を行いました。デュリスは外見がルパンと似ている訳ではなかったのですが新しさ、ワイルドさ、ユーモアさ、そして今風の魅力を持っていて現代的なルパンを演じるには彼が1番でしたし彼しかいないと思ったのです。撮影が終わった今でも彼で間違いなかったと確信しています。」
―Q.ラストでルパンが崖にはり付いているシーンはどのように撮影したのですか?
監督:「実際にフランスにあるエトルタという岸壁で、フランスでは歴史的な場所なんですがそこはもろくて、ましてや俳優さんに崖っぷちに立たせるわけにもいかないので(笑)、あとはスタジオで再現して特殊撮影を行いました。」
―Q.撮影中最も苦労した点は?
監督:「確かに時代物といわれる種類の映画だと思いますが美術もそうですし、エキストラもたくさん使っていて難しいシーンもあるし難しい映画だったと思います。だが守護天使に見守られていたのか技術者も俳優も皆が協力した事によって皆が何かチャレンジというか賭けていたのだと思います。デュリスも時代ものは初めてだったと思うし、新しい試みでもあります。私自身もこのような時代ものを撮るのは初めてです。ですから皆が1つのものに向かってチャレンジし、お互い刺激を受けながら全てのエネルギーをつぎ込んだものが本作だと思います。」
―Q.脚本にも携わっているようですが、その中で苦労した点は?
監督:「脚本を書く上で、実際に小説にあるものに忠実であろうとしました。そして、そこから色々な情報を汲みながらも自分の新しい解釈で映画作りをするという事がやはり1番難しかったですね。」
―Q.最後に、本作をこれから観る人へメッセージをお願いします!
監督:「新しい解釈のルパンをぜひ堪能して頂きたいです。若さからくる新しいルパン神話、そこから若さやエネルギーを感じ取って欲しいと思います。」
なお、今回来日出来なかったルパンを演じた俳優ロマン・デュリスについては、「彼は今年のフランス映画祭で上映される作品に3本も出ているので本人も行きたいと言っていたのですが、健康上の問題でくる事が出来ず、大変悔やんでいました。日本への来日を心待ちにしていたのでこの先機会があれば絶対に来てくれる事でしょう。」と笑顔で語った。ぜひロマン・デュリス、ジャン=ポール・サロメ監督との出会いを来年以降も心待ちにしていよう!
横浜 フランス映画祭 - 2005 / 日本
(菅野奈緒美)