『エギュイユ・ルージュ』ジャン=フランソワ・ダヴィ監督インタビューをお届けします。
『 Exhibition 』でカンヌ映画祭を騒がせた、ジャン=フランソワ・ダヴィ( Jean-François Davy )監督の少年時代の自伝的要素を盛り込んだ『 Les Aiguilles rouges / エギュイ・ルージュ 』。フランス映画祭で来日していた監督に話を聞いてみました。
こういう作品を撮るということは、過去を振り返るということになると思いますが、どのような気持ちでこの作品を作ったんですか?
「まず、幸せだなあという気持ちを持ちました。どうしてかと言うと、私は子供時代より幸せに暮らしているから。スランプの時もあって、ここ23年ぐらい映画を撮っていませんでした。今回は新しいジャンルの映画を撮るという新しいステップだったので、新鮮な気持ちを持ちました。パトリックは若い時の私自身なんですが、撮影しながら子供時代に逆戻りした気がしました。ある時鏡に映った自分を見て、大人になっていたのでビックリしました。自分の中では子供に返った気持ちだったんですね。この映画で語られていることは、自分の実際の経験の中で強く思い出に残っていることなんです。」
監督自身であるパトリックの視点が中心の映画ではないですが、どうしてそのような撮り方をしたのですか?
「子供8人それぞれに脚光を当てたかった。8人の物語として撮りたかったので、あえてパトリックの視点だけでは撮りませんでした。でも随分重点は置いたつもりで、パトリックの気持ちが語られるシーンもあります。でも救助隊を探しに行く時に、残された子供たちの気持ちも随分語りました。やはり8人に脚光を当てたいという気持ちが強かったんですね。この映画は自伝的なものとして作った訳ではありません。フィクションも随分盛り込んで、映画化したんです。例えばジャン=ピエールのお兄さんがアルジェリア戦争で死んでしまうというのはフィクションです。死に対する恐怖を入れることで、観客に戦争の悲劇を知ってもらいたかったのです。」
子供達とのエピソードを教えてください。
「山登りの場面の撮影は結構危険で、プロの山岳ガイドを雇って子供たちを登らせて、後でデジタル処理で子供だけにしたんですよ。あれは危険な冒険でした。パトリックと私の関係なんですけど、一心同体化させる手法が私たちの間で取られていて、例えばパトリックに「君、元気かい?」って聞く時に「私元気かい?」って聞くようにして二人の間で共犯性を持たせました。それは今でも続いていて、友情とか出会いを深めていく為に重要なことだと思います。他の子供たちとも本当に強いつながりを築きました。」
今回のフランス映画祭と、日本の印象を聞かせてください。
「初めて日本に来ました。観てくださる方に会うのが楽しみです。日本の人はとても親切で、礼儀正しいことに驚きました。食事も好きですね。東京の建築様式だとか忙しいリズムにも魅了されました。また是非日本に来たいです。」