多くのプレスが詰めかけ、イベント中には4つのフランス映画の配給が決まる等、2008年度NYランデヴーでは有意義な結果を残すことが出来た。
ニューヨーク ランデブー・今日のフランス映画 、今年は2つの会場で行われた。Lincoln CenterのWalter Reade Theaterはとても風格のある会場で、マンハッタンのアッパーウエストサイドに位置する。この会場では累計8761名(2作品毎)が参加し、15作品が紹介された。またこの会場での来場は9割以上、大盛況のうちに終わった。2007年度には同会場で8割を超えるという素晴らしい結果を残したが、その結果を更に上回ることに成功した。またLincoln Centerの映画団体にとってもこのNYランデヴーは常に活発的な市場として認識されており、2007年においても30作品のうち10作品が仏共同作品であった。
ユニフランスの新しい戦略として、IFC Centerでの上映の際に、上映を制限するのではなく1作品に対して1回の上映を行うという方向を打ち立てているが、その結果1500名の観客(7.5割)来場結果が得られた。この結果は予想していた以上のものであり、当初Greenwich Villageでインディペンデントの複合3会場を使って行って始まった時から2回を経て現在に至る。
このような催しを行って行くうちに、ダウンタウンのフランス映画愛好家達の確立を再認識すると共に、マンハッタンの北に位置するような専門性のある映画会場を今後も保持して養っていく義務があることを痛感されられた。
このNY ランデヴーではソフィー・マルソーを除く全ての作品の監督と出演俳優達が登場。(" Heartbeat Detector "の Laetitia Spigarelli," Exclusif "の Elsa Zylberstein," Love Songs "出演の Louis Garrel など)
彼らは上映後の討論会に参加した他、プレスへの独占インタビュー、大使館文化部によるプレスランチへも出席し、50にも及ぶアメリカのジャーナリストが詰めかけた。
ブルックリンで文化的にも商業的にも大きな役割を担っているBAM(Brooklyn Academy of Music)では特別上映が行われ、"Chansons d'Amour"が上映され、この上映会には監督の Christophe Honoré が俳優のLouis Garrelと共に出席した。またFIAF(French Institute/Alliance Francaise)では、学院内のFlorence Gould Hallにて" 彼女の名はサビーヌ "を上映し、監督・出演を務める Sandrine Bonnaire が登場し、討論会や記念パーティーにも出席した。
このNY ランデヴー開催時点ですでにアメリカ配給の決定していた作品は以下の通り:
"Crossed Tracks"(Claude Lelouch監督)=Samuel Goldwyn Films配給
"La Question Humaine"( Nicolas Klotz 監督)=Red Envelope/New Yorker Films配給
"Les Chansons d'amour"(Christophe Honore監督)"Elle s'appelle Sabine"(Sandrine Bonnaire監督)
開催期間中に配給の決定した作品は以下の通り:
" The Grocer's Son "( Éric Guirado 監督)配給=Film Movement,海外セールス=FIlms du Losange " パリ "( Cédric Klapisch 監督)配給=Samuel Goldwyn Films,海外セールス=Studio Canal " 秘密 "( Claude Miller 監督)配給=Strand Releasing,海外セールス=UGC International " Fear(s) of the dark /Peur(s) du noir "(アニメーション映画)配給=IFC,海外セールス=Celluloid Dreams
NY ランデヴーにて上映された他作品は以下の通り:
"Regarde-moi"( Audrey Estrougo監督)," All is forgiven"( Mia Hansen-Love 監督)," Shall We Kiss "( Emmanuel Mouret 監督)," Ceux qui restent "( Anne Le Ny 監督)" L' Ami de Fred Astaire "( Noémie Lvovsky 監督)," Exclusif "( Jean-Marc Moutout監督)," Trivial "(Sophie Marceau監督)
同時期に開催された On Set with French Cinema には監督のClaude LelouchとClaude Millerが出席し、コロンビア大学とビジュアルアーツスクールにてマスタークラスを行った。
さて今回のNY ランデヴーでは更に、ユニフランスと大使館文化部の協力で初めIFP(Independent Feature Project)とのコラボレーションを行うに至った。米国だけに留まらず世界中でインディペンデント系のプロダクションの振興と援助を目的とする組織であるIFPであるが、今回の最大の目的はフランスの海外セールスやプロダクションに、アメリカの配給、映像市場の現状を紹介するところにあり、注目の集まるヴィデオオンデマンドに関しても話し合いが進められた。IFPエンタテインメント代表のJonathan Sehringは配給会社に対して戦略を打ち立てた。従来アメリカでの主たるフランス映画の買い取り先である配給会社は古くからある映画館に強い傾向にあるが、今後はI-Tunesでの配信やIFC Festival Directでの紹介などを取り入れて行くというものである。JamanのVanessa ArteagaとFilm CatcherのAl Cattabianiによるレクチャーも行われ、Jamanはネット上での映画配給を提案。(2008年3月1,000にも及ぶ映画作品の中でフランス映画作品は17本しかない)またFilm Catcherはインディペンデント作品、海外作品にも価値を見いだせるようにDVDやダウンロードをどの国でも行える環境というものの重要性を語った。
また今日のアメリカでの配給の背景が根底から変わってきている現状と、配給の形自体が急速に変化している現実を踏まえた上で、アメリカでのインディペンデント映画のように海外の作品の価値も認識されているという事になるだろう。