最新のフレンチシネマの情報は?
"Les Choristes"、 "Malabar princess" 、"Une vie a t'attendre"という初監督作品と "Agents secrets" 、"Immortel"(邦題:ゴッド ディーバ)というそれぞれ2作目、3作目の作品によってフランスの若手監督作品はまた活力を取り戻し彼らの能力を観客に示すことができたようです。
3月のボックスオフィスを見るとフランス映画の才能の刷新は前出の3初作品が公開されてからの結果を見ても明らかです。
まず Eric Valli 監督の Himaraya などで知られる Galatee Films の製作者だったChristophe Barratier の初監督作品、"Les Choristes"について見てみましょう。 Pathe Distributionより326プリントで公開された Gerard Jugnot 、Francois Berleandと合唱団初心者の子供達を描いたこの映画は公開一週目から79万人の観客を魅了しました。さらに 製作Galatee Films のJacques Perrin氏にとって吉報は、2週目も観客数がわずか4パーセント減(522プリント)という驚くべき安定した数字を残したことです。
この2週間で"Les Choristes"はフランス全体で150万人以上の観客を動員したことになり、この結果はこの映画が偶然にも良質のファミリー向けの映画で、かつ学校の休みの期間に重なったという好条件に恵まれていたと言えるとしても、素晴らしいものです。ベルリン映画祭で初めて上映されて以来、多くの海外の配給会社が Pathe Internationalから 配給権を獲得しようとしているのもうなずけます。
また Epithete Films で "La Veuve de Saint-Pierre" (邦題:サン ピエールの生命)"Ridicule"(邦題:リディキュール)といった作品を共同製作した Frederic Brillion と共に Gilles Legrand がメガホンを取った 初監督作品、 "Malabar princess"も素晴らしい出足を切りました。
Epithete Filmsと手を組み、 Gilles Legrand は監督という仕事に乗り出しましたが Epithete Filmsにとってもその成功は約束されました。 Warner Bros より291プリントで3月3日に公開された"Malabar princess"は公開第1週から365,000人の観客を集めこの約1ヶ月間で100万人の同員に達する見込みです。
若いJules Bigarnetの脇を Clovis Cornillacや Jacques Villeretが固め、 FPI が海外セールスを行う家族向けのこの作品も学校の休みの期間と重なって150万人の観客動員が見込まれています。
Studio の記者だった Marc Esposito (160万人を動員した"Le Cマur des hommes"、仮題:「ミドルエイジ協奏曲 」)の監督の後を受けての 元同雑誌記者Thierry Klifa の職人芸は功を奏しました。 Nathalie Baye、Patrick Bruel、Geraldine Pailhasといったキャスティングの妙もあって Films du Kiosque( Fran腔is Kraus、 Denis Pineau-Valencienne) の初製作作品"Une vie a t'attendre"は Mars Distributionの配給、317プリントで44万人の観客を集めました。 TF1 Internationalが海外セールスを担うこの映画は3週間の間で73万人を動員し最終的には100万人を超える観客を見込んでいます。
初監督長編作品での成功のひとつに Benoit Poelvoordeがクロードフランソワのそっくりさんに扮し Yann Moixが自身の小説を 自ら監督した"Podium"(仮題:ポディウム)も付け加えない訳にはいけません。この映画は公開7週で350万人の観客を動員しました(海外セールス: Wild Bunch)。
その上、この4作品はパリ/地方の区別なくフランス全土で観客を獲得したというところは注目すべき点です。
また別のジャンルを見ると、フランスの観客が3月24日に幕を上げた特別なジャンルの映画、 つまり自身のB.Dを原作とし、実写とアニメが入り交じった SF映画に仕立て上げたEnki Bilal監督の第3作、 "Immortel (ad vitam)"(邦題:ゴッド ディーバ)が挙げられます。 Charles Gassot (Telema)製作、 Linda Hardyや Charlotte Rampling、Thomas Kretschmannが出演したこの作品は400プリントでの公開も相まって第1週目で43万人近い観客を動員しました。
この成功の裏には、数年に渡るプロダクション、ポストプロダクションを通し、この映画を献身的にサポートしてきたTF1の存在があります。このジャンルの映画としては希有なプロセスと言えるでしょう。たとえ予想される観客数で採算をとるのが難しいとしてもすでに一種の賭けに勝ったようなものです。
またフランスでは珍しいジャンル、スパイ映画(でかつ作家映画) "Agents secrets"も素晴らしい出だしを切りました。 TF1、 Miramax と組んでTFM Distributionにより370プリントで公開された Frederic Schoendoerffer監督の第2作目は3月31日公開初日には65,000人の観客を集めました(最終的には80万人の観客を見込んでいます)。 Monica Bellucci と Vincent Casselというフランス映画界きってのカップルというキャスティングも観客を引き付けたのはいうまでもありません。製作は第1作 "Scenes de crime" (邦題:少女首狩り事件)でも手を組んで長い付き合いの Eric Neve (La Chauve-Souris)が手掛けています。この映画も Immortelと同様 TF1 Internationalが海外セールスを担当しています。
その一方で若い才能の開花は、すでに成功を手にしたベテラン監督の妨げにはなりません。たとえば定期的に作品を発表する Patrice Leconte監督の新作がその良い例です。 Sandrine Bonnaire 、Fabrice Lucchini共演の "Confidences trop intimes"(Les Films Alain Sarde)は1ヶ月で75万人の観客を魅了し、興行的成功と批評家の評価が一致しうるというところを見せました(セールス: StudioCanal )。
2月に封切られたOlivier Dahan 監督の"Les Rivieres pourpres "(邦題:クリムゾンリバー2 黙示録の天使たち)、Francois Desagnat、 Thomas Sorriaux監督の "Les 11 Commandements"(仮題:十一戒)も3月に入っても依然好調でそれぞれ200万、300万人の観客を得ようとしています。
3月フランス映画のマーケットシェアを活気づける要因としては、3月の数週のマーケットシェアが65パーセントに上っていて、今年第一四半期でみると41パーセントーこれは例年より数ポイント高い数値ーに達したことです。例年のカンヌ映画祭前の一時的な中断で、ここ数週間はフランス映画封切りに関しては動きが少ないとしても Jean-Jacques Annaud監督の新作 "Deux freres"(邦題:トゥー ブラザーズ)はフランス映画市場を牽引してくれると思われます。