フランス系アルジェリア人の若者、サミの人生は数秒間のうちに惨劇へと急変する。法から逃れるためにフランス脱出を余儀なくされ、サミはカビリアの山中に住む母方の祖父の家に逃げ込む。
当初こそ国のオリエンタルな雰囲気のおかげで自分のした事を忘れていたサミであるが、すぐに過去が彼を捕える。フランス語しか話せない彼はアルジェリアの文化に馴染めず、家族も含めた全てが未知の経験である。
妊娠中で未亡人の従妹ナディアは従兄の一人イッサムに激しく憎まれており、そのイッサムはフランスを夢見て旅立ったものの、強制退去の身となった。彼らの間で祖父は、今日ではもう何の豊かさも生み出されることがない一介の土地に生まれ変わった、失われた黄金郷の思い出の中に生きている。
サミは決して家族に滞在の理由を言うことはないのだが、日がたつにつれ、アルジェリアの重苦しい空気がサミの内に潜む混沌を蘇らせる。フランスの法を逃れたサミ、果たしてどのような代価を支払い過失から自身を解放することができるであろうか?