英国の億万長者ヒューゴ・ドラックスが私費を投じて開発した原爆搭載ロケット「ムーンレイカー」を国家に寄贈することになった。ドラックスは偉大な国家的英雄と賞賛される紳士だったが、そんな彼がカードクラブでイカサマを働いているとの情報を得たMは、ボンドと共にクラブへ向かう。やはりドラックスはコントラクト・ブリッジでのイカサマで荒稼ぎをしていた。ボンドはさらなるイカサマ勝負を仕掛けてドラックスから大金を巻き上げるが、ドラックスの態度は相手を侮辱するうえ、まるで誇大妄想狂の変質者そのものという、国家的英雄らしからぬ無礼な男だった。
その翌日、ドーバーの断崖にあるムーンレイカー基地の保安主任が、色恋の刃傷沙汰で死亡する事件が発生。折しも来週の金曜日にはムーンレイカーを、核弾頭なしの状態で試射実験を行うことになっていたため、警視庁特別部とMはムーンレイカー開発を妨害しようとする何者かの工作があると判断し、ボンドを後任者として派遣する。ボンドは先んじて潜入していた特別部の婦人警察官ガーラと共に活動するが、やはり何者かに命を狙われることになる。
ところが、一連の事件の首謀者はドラックスその人だった。彼の正体は元ナチス親衛隊の生き残りで、ナチス党率いるドイツを滅ぼした英国への復讐を遂げるため、長年の潜伏期間を経て英国の億万長者として名を挙げ、英国内に原爆基地を開設。ソ連と手を結び、試射実験と見せかけて本物の核弾頭をムーンレイカーに装備し、ロンドンに打ち込む計画を企んでいたのだ。ムーンレイカーの発射まであと僅かと迫る中、ボンドとガーラは英国最大の危機を阻止しようとする。
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