トリュフォーのように本作をルノワールの最高傑作とする人も多い、彼がイタリアに赴いて作った、陽光に溢れ、かつ素晴らしいセット撮影に舌を巻く珠玉の 名編。生きることに真摯であるがゆえにつまづきも多い、常に恋する女にマニャーニが扮し、ロッセリーニの「アモーレ」と対をなす陽性の魅力をふりまいて圧 倒的。18世紀、スペイン統治下の南米ペルーを廻るイタリアの旅芸人一座の花形女優(マニャーニ)は土地の総督と浮名を流すが、彼が本国から取り寄せた、 “黄金の馬車”を贈られると知って穏やかでない。スキャンダルとなるのは必至、有り難迷惑なのだ。そこで彼女は機転をきかすわけだが……。ルノワールがそ れを聞きながらシナリオを書いたというヴィヴァルディの曲が全編を彩り、イタリア的大団円に向け、映画を軽やかに導く。
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