「撮影現場ではヘンな格好もさせられたわ(笑)」『みんな誰かの愛しい人』主演女優マリルー・ベリ:インタビュー。
Agnès Jaoui × Jean-Pierre Bacri 。フランスを代表する監督、脚本家コンビが放つ『 Comme une image / みんな誰かの愛しい人 )。カンヌで最優秀脚本賞を受賞した本作は悩める日々を送る人々必見のヒューマンコメディである。ヒロイン、ロリータを演じるのはフランスの新星マルリー・ベリ( Marilou Berry )。父は大作家、けれど、自分の容姿は冴えない、歌手になりたいけど才能はないかも・・・、BFはいるけど父と知り合いたいだけかも・・・、そんなモヤモヤとした感情を抱えて暮らす。
――あなた自身、父親が彫刻家、母は女優のジョジアーヌ・バラスコ( Josiane Balasko )、叔父はリシャール・ベリ( Richard Berry : 本映画祭にも出品した『ぼくセザール 10歳半 1m39cm』の監督)とアーティスト一家に育っています。そのことに対し、劇中のロリータのようにプレッシャーを感じたことは?
マリルー・ベリ あそこまで極端なことはないわね(笑)。家族関係はうまくいっているし・・・。でも、自分の環境は役作りにおいてプラスになったと思っている。ロリータの気持ちを理解するのは難しいことでなかったわ。
――もともとジャクリ作品(アニエス・ジャウイ×ジャン=ピエール・バクリ)のファンだったそうですね。アニエス・ジャウイ監督の演出はいかがでしたか?
マリルー・ベリ フレームを見ながら演出する監督ね。映画の場合、どんな動きもカメラの制約を受けるから、どこにどうやって腰掛けるのか、足はどこに向けるのか、細かく指示を出して何度もリハーサルをする。現実にはなんだか変な格好なんだけど、スクリーンで見ると適切な構図になる。そういう細部まで予め想定して映画を撮る人だと思うわ。
――ということは・・・実際に自分でポーズを取って「なんじゃこりゃ?」と思ったこともあったってことですか?
マリルー・ベリ そう、そういうこと(笑)。でも、映画で見ると自然な感じなのよ。
――オペラのシーンは代役がいたそうですね。口を合わせるのはたいへんだったとか。
マリルー・ベリ 6ヶ月くらいトレーニングを受けたわね。オペラのレッスンは彼女と一緒に私も受けて、発音の仕方まで似せるように特訓されたわ。撮影時、彼女はカメラの隣で歌っていて、彼女から私の顔は見えるのだけれど私からは彼女の顔が見えなかった。顔を見ずに口を合わせるのは本当にたいへんだった。
――今回、夜の撮影が多かったそうですが。毎日、睡眠不足?
マリルー・ベリ 撮影は夜がほとんどだった。それ以外の日もジャウイは午前中の撮影を嫌うの。大概は1時に集合して夜七時まで。夜の撮影の時はそれこそ夕方まで寝ていて、7時くらいにインして翌朝まで。これは楽しかったわ。私はもともと宵っ張りで普段も午前3時前にベッドに入ることがないのよ(笑)。
――なのに、今は時差ボケで日本入りし、朝から取材三昧(笑)。疲れたでしょう。
マリルー・ベリ まぁ、ちょっとは(笑)。でもね、期間中ずっとってわけじゃないのよ(笑)。昨日はね、ほとんど寝てないの。
――さて、次作のことを聞きましょう。フランスでは今夏公開の「 The First Time I Was Twenty )」に出演されているとか。
マリルー・ベリ 60年代のユダヤ人の女の子の話なんだけど、彼女がジャズバンドを組むの。日本でも公開されれば嬉しいんだけど。
――今回、来日は初めて。行きたいところ、何かお土産として買いたいものは?
マリルー・ベリ 今日、これから東京に行くの。古着の着物が欲しくって。普通の着物はすごく高くて買えないけど中古なら大丈夫でしょ。あとキディランドに行きたい(笑)。オモチャっぽいものが大好きなの。
(取材・記事構成:M・T)