今、最も輝いている実力派女優2人が共演した『彼女の人生の役割』のフランソワ・ファヴラ監督&ジョナサン・ザッカイ:インタビュー。
カリン・ヴィアール( Karin Viard )扮するファッション雑誌の校正記者がふとしたきっかけでアニエス・ジャウイ( Agnès Jaoui )演じるスター女優の付き人に雇われるが…。今、最も輝いている実力派女優2人の顔合わせで魅せた『 Role de sa vie (Le) / 彼女の人生の役割 』は、2002年カンヌ国際映画祭新人監督賞カメラドールを受賞した『海のほとり( Seaside )』(フランス映画祭 横浜上映)で共同脚本を務めたフランソワ・ファヴラ( François Favrat )の長編初監督作だ。
……監督は本作でも自ら共同脚本を手掛けてますが、その時点から俳優の起用は想定してましたか?
F・ファヴラ「書きながら考えてましたね。実はアニエス・ジャウイとは以前に『飛び出した女』という作品で一緒に仕事をしたことがあり、その時に会ったアシスタントの女の子がいました。それがこの作品のアイデア・ソースになったのですが(笑)、何故アニエスかというと、映画の中で髪をブロンドにして歌っているシーンに見られるように、凄く色っぽかったりすると同時に、とても繊細で人間味にあふれている部分もある。そこが役柄にぴったりだと思ったからです。ジョナサン・ザッカイ( Jonathan Zaccaï )も『海のほとり』で仕事をしていたので、すぐに頭に浮かびました。特に、2人の女性と絡むという点が彼にぴったりだとね(笑)。その後でカリン・ヴィアールを選びました。彼女の役は、まるでジャック・レモンが『アパートの鍵貸します』で演じた役のように内気なんだけど、ちょっと面白いところがある。それを演じられる女優は?と思いを巡らせたわけです。確かに2大女優なので、完成したシナリオを渡すのを躊躇しましたが、意を決してオファーしたんです」
……まさに重要な役どころを演じたザッカイさんは、どんな点に気を配って演技したのですか?
J・ザッカイ「地方で苗木を扱っている役なので、肉体的な面では、かなり体を鍛えました。そして実際に苗木屋さんの仕事も見て役づくりをしました。それにアニエスとカリンは演技のアプローチ法が違うので、それぞれに対応する形の演技を心がけました」
……アニエスさんとヴィアールさんの演技の違いとは?
J・ザッカイ「彼女たちが常にそんな風に演じてるとは断言できないんだけど、僕が思うには、ジャウイの演技はオーガニック的で、実に自然にやってるなって感じ。ヴィアールは今回、他人と距離を置きがちな人物を演じていたので、それを実践していましたね。それぞれのキャラクターを作り上げるのは、彼女たち自身の作業なので、それに僕がどう絡んでいくべきか気をつかったわけです」
(取材:KIKKA)