短編『ボディーガード』サンドリ-ヌ・デュマ( Sandrine Dumas )監督単独インタビュー。
ピエールは姉アレックスのことが気になって仕方がない。最近、妙に色気づき、BFと長電話、夜中にこっそり家を抜け出したりする。そんな姉の後をつけ、そこで体験したことは…!? 弟12歳、姉15歳。『Le Garde du corps 』はささやかだけど、かけがえのない一夜を描いた短編作品だ。「この作品は弟に捧げたい」とサンドリ-ヌ・デュマ監督は言う。
――こんな弟が欲しいなと思いましたよ。劇中のエピソードは監督の実体験?
サンドリ-ヌ・デュマ 弟とは今でもこんな関係よ(笑)。映画を見せたら、「こんなに姉ちゃんを愛してると思ってるの?ぼくが?」なんて笑ってたけど。
ともあれ、作品はいくつかの個人的な感情が組み合わさったものね。思春期で思い出すのは夜がもたらす自由な感じ。その雰囲気を作品に取り入れたかった。
――アレックスがバーに行き、ある男の子に「友達が知りたがってるから」と名前を聞き出します。そうして、カウンターに行き、アルコールを注文。「勘定は彼に!」とその名前を告げる。ニヤリとする場面です。これも実体験?
サンドリ-ヌ・デュマ ふふふ(笑)。なかなかいい手でしょ。でもね、使ったことはないわ。
――監督は女優としても活躍されてますがその経験は映画作りに役立った?
サンドリ-ヌ・デュマ 役者を演出するって時にはもちろんだけど、映画のセットに慣れているってことに助けられたわ。監督としては初めてだけれど、その分、心に余裕が持てたし…。
――とはいえ、子役への演出は大変では?
サンドリ-ヌ・デュマ よりによって、なんで子供なんか使っちゃったんだろう!って何度か思ったわ(笑)。子役2人は演技経験が初めてだったし。でも、弟役のマルタン・ビュイッソン( Martin Buisson )はものすごくマジメな子で朝二時までの撮影だったり、早朝だったりの撮影にも眠いだろうに、ちゃんとやり遂げてくれたわ。姉のモルガーヌ・モントリオ( Morgane Montoriol )は今やフランスでは売れっ子のタレント。最近ではフランステレコムのCMにも出るようになったわ。
――作品の完成まで2年近くかかったとか。
サンドリ-ヌ・デュマ 映画製作には全てのプロセスに困難がつきもの。プロデューサーが決まらない、お金が集まらないで孤独な気分に何度も陥ったわ。最終的に地域から助成金が出ることになり、こうやって完成したのだけど映画って思うに時計みたいなものね。役者が針で私たちが仕掛け。適切な仕掛けがないと時を刻むことはできないわ。
――なるほど。次作の予定は?
サンドリ-ヌ・デュマ フランスに戻ったら舞台のためのリハーサルが始まる。公演は9月だけれどその後に長編の脚本を書き始めるわ。内容はね、まだヒミツ(笑)。完成したら、是非、この映画祭に出品したい。
――今回、日本は初めて?
サンドリ-ヌ・デュマ いいえ。実は10年ほど前にひと月ほど滞在したことがあるの。今回、音楽を担当してもらったデルフィール・シァンピ( Delphine Ciampi-Ellis : 岸恵子の娘)は5歳の頃からの幼馴染みで、彼女は東京に5年ほど住んでいた。その時に遊びに行ったわ。
というわけで、久しぶりの来日なんだけどほとんど観光は出来ていない。昨日はダイエーに行って、娘のためにマンガの絵のついたパジャマをかったかしら(笑)?そして、今日は…この取材が終わったら東京に遊びに行くのよ(笑)。
横浜 フランス映画祭 - 2004 / 日本
(取材:M・T)