『バンリュー13』に主演し、超人的なアクションを披露したイケメン、シリル・ラファエリ:インタビュー。
リュック・ベッソン( Luc Besson )製作・脚本による最新ノンストップ・アクション『 Banlieue 13 / アルティメット 』。近未来のパリ郊外を舞台にドラッグ撲滅を目指す男とエリート警官がタッグを組んで活躍する痛快作だ。エリート潜入捜査官役で初主演を果たし、アクション・コリオグラファーも務めたシリル・ラファエリ( Cyril Raffaelli )が初来日!
Q=『バンリュー13』に主演するに至った経緯を教えて下さい。
A=それを話すと長くなるんですが…(笑)。6歳から武道を始めましたが、同時に映画俳優にも憧れていました。14歳の時、アニー・フラテリーニのサーカス学校に入ってスタントとアクロバットを学び、修行を積んだ後、フランスの大きなサーカス団に入団してプロになりました。サーカスの巡業を経て、有名なミュージカル“スターマニア”に出演したんです。もちろん歌ったわけではなく(笑)、アクション・パーツの担当でした。それがきっかけです。その後スタントマンとしてリュック・ベッソン製作の7本に出演し、『 Taxi 2 』『 Wasabi 』等ではアクションシーンの振付も担当しましたが、当時から俳優を僕の本業にするぞと心に決めていました。そして2001年の『キス・オブ・ザ・ドラゴン( Kiss of the Dragon )』で重要な役を得ました。ジェット・リー( Jet Li )と最後に闘う人物だったのですが、ベッソンがそれを見て気に入ってくれ、今回の夢のような抜擢に繋がりました。『バンリュー13』は、僕ともう1人の主役ダヴィッド・ベル( David Belle )2人のためにベッソンが脚本を書き下ろしてくれた作品です。この作品でも僕はアクションシーンの振付師も兼ねました。と言うのも、監督のピエール・モレル( Pierre Morel )も初めての監督作品だし、僕も初主演だということで予算が限られており、僕がそれを引き受けることで“我々の映画”という意識と意味合いが高まると思ったからです。
Q=残念ながら今回は来日を果たせなかった、もう1人の主役ダヴィッド・ベルさんの身体能力の高さにも驚かされました。プロのシリルさんの目から見て、スゴイなと思うところは?
A=ダヴィッド・ベルはプロではありませんが、非常に高いレベルのアスリートです。撮影秘話なんですが、彼が大きな窓の窓枠につかまって、窓をぶち破るシーンがあります。彼は当初、自分には絶対にできないと言い張りました。何故こんなことを僕にやらせようとするんだってね。ですがロープを2本下げ、窓枠に見立てた間口を作り、これを練習台として何度も練習させたんです。そしてどんどん間口を狭くして、これは通れるか、これはどうだと、徐々にハイレベルな動作を要求していきました。そして実際の撮影に入ったのですが、何と軽々と1回でクリアしてしまったんです。練習を重ねれば重ねるほど彼の運動能力のキャパシティは広がります。まるで限界がないと思えるほど永遠の可能性を秘めていますね。彼は武道とか格闘技の経験は全くありません。なので僕は彼を撮影の 2ヶ月前にタイに連れて行き、映画に必要となる全ての技を教え込みました。そして2ヶ月間で彼は全てを習得してしまったんですよ。
Q=お気に入りのシーンは?
A=一番印象に残っているのは、カジノのシーンです。トリックなし、安全マットなし、スタントマンなし、そして事故もなしと言う、ないない尽くしで“キメた”シーンだからです。綿密なリハーサルを行った上で本番に臨んだのですが、本当に素晴らしいシーンに仕上がりました。とても誇りに思っています!
Q=ダミアンは囮捜査官なので、まずギャングの手下として登場しますね。変装をやめ、正体を明らかにするや全くの別人になるので、笑ってしまいましたが、あの70年代風の凝った衣装や小道具は誰のアイデア? ご自身ですか?
A=まさか! あれはピエール・モレル監督とリュック・ベッソンが選んで用意してきたモノばかりです(笑)。最初、僕は冗談だと思っていたんですが、2人とも本気かつ大真面目だったので、諦めて着用しましたよ。
Q=演じたエリート警官ダミアンについて、どう思われますか?
A=実はダミアンの性格は僕自身のとよく似ているんです。物事を四角四面に捉える堅物的なところや、ぶきっちょな面などが。そういうところにはとても共感できました。ですが、よく似ているが故に演じる難しさもありました。ダミアンはレイトから、君は政府の罠に掛かったんだと言われても納得しません。ナイーブで理想肌過ぎる彼は事実を受け入れられないのです。もしそれを認めてしまうと、彼のこれまでの人生全てが否定される気がするからなんですが、こんな純粋すぎる部分を演じるのは本当に難しかったですね。映画的にも大変重要なシーンでしたし、彼の性格を強く押し出して伝えなければいけませんでしたから。あっ、そうそう、フランスではダミアンみたいな性格を日本人的って言うんですよ(笑)。実はアクションの振付の世界にもね“日本風”という言葉がありまして。例えば「今回の振付はア・ラ・ジャポネーズにしようか」といった使い方をします。それは“型”を決める非常に高度なテクニックで、1つ1つの動作を綺麗に素早く正確にキレよく行うものです。テキトーな動きは全くありません(笑)。アクション映画では本当によく使う言葉なんですよ。
(KIKKA)