『愛されるためにここにいる訳じゃない』アン・コンシニュイ、インタビュー。
今回の映画祭で『 Je ne suis pas la pour etre aime / 愛されるためにここにいる 』『 Du jour au lendemain / 一夜のうちに 』『 36 quai des orfevres / あるいは裏切りという名の犬 』など出演作が複数上映される女優のアン・コンシニュイ( Anne Consigny )はモデルから転身した現在のフランス映画界を代表する女優だ。ヒロインとして登場する作品中、それぞれの主人公たちの希望を象徴する役柄を好演している。
日本の印象は?
「5日間ずっと滞在することになりますが、20年前に一度来た事があるので日本はよく知っています。歴史とモダンなものが混在し、対峙している街ですね。映画の世界に自分がストンとはまってしまったみたいな印象を受けました。制服の子供たちの集団に出くわし、そういうのを見ると微笑ましいですね。」
これまで横浜で開催してきましたが、以前から日本でのフランス映画祭はご存知でしたか?
「横浜に行ったという友人もたくさんいますし、毎年フランス映画祭に招かれたというゲストからもたくさん話は聞いていました。私の子供の父親でもあるブノワ・ジャコ( Benoit Jacquot )監督からは特によく聞いていましたよ!大勢のゲスト陣と一緒に日本で数日を過ごすこの映画祭は私たちにしてみれば、「コロニー(Colonie de vacances)」(日本でいうサマーキャンプのようなもの。子供たちが親元から離れて数週間を過ごす)のような感覚で日本に来ています(笑)」
今回の映画祭では「愛されるためにここにいる訳じゃない」「一夜のうちに」「パリ警視庁/ルフェーブル河岸36」など数作品に出演されていますが、作品を選ぶ基準はありますか?
「もちろんシナリオを読んでからなんですが、女優をはじめた最初の頃は来た話は全部やりたいと思ってたの(笑)。だんだん選ぶコツがわかってきて、シナリオを読んでいるうちに「これ好き!」って思える作品に出るようにしています。女性として恋をするのと同じように、「じゃあ、結婚しよう!」って言ってくれる作品に出たいと思います。」
「愛されるために~」のステファン・ブリゼ( Stéphane Brisset )監督は直前までなかなか役者にシナリオを渡さず即興性を重んじる演出だそうですね。
「例にたとえてみると、スガンさんの山羊って物語をご存知かしら。子供によく話す話なんですが。杭につながれて動けない山羊が自由を求めて逃げ出すんですが、結局狼に食べられてしまう話。私はちょうどそのスガンさんの山羊で、繋がれている杭とヒモの間からどこかへ行ってしまわないようにしないと大変なことになってしまう!と思いながら演じていましたね。」
パトリック・シェネ( Patrick Chesnais )さんとの共演はいかがでしたか?
「撮影でお会いしたときはしばらくぶりでしたが、パトリック・シェネさんとは25年程前から共通の友人を介しての知り合いだったんです。私の演技の大きな助けになってくれましたし、厳しそうな見かけとは違ってすごく優しい方なんです。俳優としても偉大ですし、正しい道に導いてくれる方です。」
お二人のダンスシーンが素敵でした。レッスンはどのくらいしましたか?
「シェネさんと私は70時間ものダンスレッスンを受けました。上手に踊ることも難しいんですが、踊れるようになってから「踊れない」シーンを演じるのがまた難しかったです。」
来日で楽しみにしていることは?
「緑茶をたくさん買うことです。妹も一緒に来たんですが、京都を見せてあげたいし私ももう一度行きたいと思ってます。このあと少し自由があるのでステファン監督と散歩してみようと思ってます。」