あらすじ
「世は逆ま」と人は云うが、この言葉を身を以て体験した男が僕である。変転極まりなき四十年の生涯は、先ず僕が十三歳の時に始まった。僕の家は村の 雑貨商だった。或日ビー玉を買いたい一心で八銭を盗んだところ、カンカンに怒った父は「盗人した奴には飯なんか食わさない」と怒鳴った。そして僕は其の時 の御馳走であった茸を喰わして貰えなかったが、間もなく僕を除いた十一人の大家族が一朝にして死んでしまった。その茸たるや恐るべき毒茸だったのである。 そこで僕は次の結論に達した。即ち「俺は盗みをしたから命が助かった」と。僕は貪慾な叔父夫婦の家に引き取られたが、或夜そこを逃げ出して先ずレストラン のボーイ、次にホテルのボーイとなって初めて「金持ち」と称する人種を発見した。かくて僕は十七の時、憧れのパリへ行ってレストランに勤めたが、皿洗いの 青年に惹きずられて、彼の恐るべき犯罪の計画に捲き込まれた。しかし彼等一味は犯行直前に一網打尽となったが、僕が密告した事にはよもや彼等も気付かな かったろう。その冬僕はモナコへ行ってホテルのエレヴェーター・ボーイとなった。その頃僕はつまりその人生の春を知った。相手はずっと年上の伯爵夫人で、 僕に記念の金時計を呉れた。そうこうする中に徴兵適齢に達して三年間を兵営で送ったが、除隊すると再びモナコへ帰って、不正直では有り得ない職業、即ち賭 博台取締になった。その為に僕はモナコへ帰化したのだが、世界大戦が始まるとフランス政府は僕のモナコ帰化を認めず、僕は銃をとって戦線についた途端に負 傷して後送された。其の時僕の命を救ってくれたシャルボニエも間もなく重傷を負った。傷の全治する迄僕は色んな本を読んで世界の種々な相に接した。そして 退院して伸びた髯を剃ってみたら、驚くべし僕は若さをすっかり失っていた。ブラリと立ち寄ったホテルで天使の如き女と識り、暫くは彼女とのアヴァンチュー ルに陶酔したが、実は彼女は僕を利用して宝石泥棒を働いたのを知ったので、こっそりと彼女から逃げてモナコへ行き以前の職に戻った。僕の受け持ちのテーブ ルに席を取る一人の女が、じっと僕を見つめると、不思議に僕は必ず彼女の望む穴へ玉を入れる。僕は彼女一人に儲けさしておくのが惜しく、利益を分配するた め彼女と形式的の結婚をしたが、すると今度は我々の儲けはおろか、僕は胴元を破産させて馘になり、二人は直ちに離婚した。かくて僕はイカサマ師たらん決心 をした。本職のペテン師となって巨万の富を得た或日、例の女賊と別れた妻が一緒に居るのに会った。二人が僕だと気付かないままに、僕はかつて妻だった女の 情夫となった。その後賭博台で大戦の時僕を救ったシャルボニエに逢った。彼と交際している内にイカサマでない賭博のファンとなり、僕の悪徳は消え去った代 わりに、儲けた巨万の富は失ってしまった。その後、トランプの選別係という職も得たが、今は絶対に悪い事をなし得ない職業、即ち保安警察の役人となってい るのである。
Source : movie.goo.ne.jp
クレジット
監督 (1)
俳優 (14)
映画製作・配給会社 (3)
クレジットタイトル詳細 (9)
- シナリオライター : Sacha Guitry
- せりふ作者 : Sacha Guitry
- フォトディレクター : Marcel Lucien
- 作曲家 : Adolphe Borchard
- Editor : Myriam
- 録音技師 : Paul Duvergé
- プロデューサー : Serge Sandberg
- 撮影技師アシスタント : Raymond Clunie
- 美術部長 : Henri Menessier
技術面詳細
- タイプ : 長編映画
- ジャンル : フィクション
- サブジャンル : 人生ドラマ
- 言語 : フランス語
- その他の国の共同制作者 : フランス (100.0%)
- Original French-language productions : 不明
- 製作国 : 100%フランス (フランス)
- 製作年 : 1936
- フランス公開 : 19/09/1936
- 上映時間 : 1 時間 21 分
- 経過状況 : 公開済み
- ニュメロ·デ Visa : 2004
- ビザ発行日 : 07/11/1941
- CNC助成 : はい
- 生産のフォーマット : 35ミリ
- カラータイプ : 白黒
- 画面セット : 1.37
- Audio format : モノラル
興行収入・公開作品
テレビ放送
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