南フランスの小さな町。今、一人の女が刑務所を立ち去ろうとしていた。後ろ姿に歳月の重みを感じさせる女--カトリーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)、 三十五歳。獄中に青春を埋没させた悲しみは、濃い化粧の下に隠せない。タクシーをひろったカトリーヌはエクス・アンプロバンスに向かった。国立孤児院にい る一人息子シモン(ジャン・ジャック・ブリオ)に会うためだ。院長の配慮で十五年ぶりに再会することのできたシモンは、逞しく成長していた。感動で胸一杯 のカトリーヌ。十六年前、彼女はタイピストとしてある会社に勤めていた。だが、ある日下心を持った重役に食事に誘われ、彼の術中にはまってしまう。それに 激怒した彼女の恋人アンリ(ニエル・アレストラップ)は、その重役ともみあい殺してしまう。呆然と立ちつくすアンリとカトリーヌ。男は殺人で無期重労働、 女は証拠いん滅で二十年の重刑。だが、弁護士の努力で彼女は十六年の刑となった。が、アンリは自殺してしまった。カトリーヌは同房のサラ(アヌーク・エー メ)と知り合ったことで、一大決心をする。出獄後の第二の人生のため、子供を残しておこうとしたのだ。刑務所病院の看護人を誘惑して、目的を果たすカト リーヌ。こうして、シモンは生まれ、孤児院に引き取られたのだった。夢にまで見たシモンとの再会後、カトリーヌは職を捜すがうまくゆかず、アンリの母の リュシェンヌ(コレット・ボード)を訪ねる。二人は感激の抱擁をした。今や何の関係もない二人だったが、リュシェンヌは、自分の店をカトリーヌに手伝って もらい、シモンを呼んでいっしょに暮そうと提案する。夏休み、カトリーヌはシモンとバカンスを楽しんだ。彼女を年上の異性と意識するシモンは、彼女の唇を 奪うが、やがて母と知ると彼はカトリーヌの胸に飛び込んでいった。そして、店を経営しはじめたカトリーヌのもとへ、サラが訪ねてくる。シモンは学校の先生 を母に紹介し、彼自身はサラに好意を持ち出した。数日後、アルプスの白銀にたわむれるこれら愛し合う四人の姿があった。
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