ヴィシー。ロベール(クリストフ・マラヴォワ)は毎晩、郊外の屋敷に住むジュリエット(マチルダ・メイ)を覗き見いる。婚約者のパトリック(ジャッ ク・プノー)と二人暮らしで幸せそうな彼女の生活は、冷酷な先妻ヴェロニク(ヴィルジニ・テヴネ)との結婚生活に傷つき、精神まで病んで、パリから逃れる ようにこの地に移り住んできた彼にとって夢であり、慰めだった。ある日彼はつい彼女に話しかけてしまう。彼女は不思議と警戒もせず彼を家に招き入れ、自分 が弟の死以来、死の妄想にとりつかれていること、婚約者との関係に自信が持てないことを明かす。やがて彼女はパトリックよりもロベールに魅かれている自分 に気づき、婚約を破棄した。パトリックは嫉妬に狂う。近隣の友人たちも余所者のロベールに敵意を抱き、パトリックに同情する。ロベール本人も自分は周囲の 人間を不幸にする男だから近づかないほうがいいとジュリエットを説得するが、彼女の思いは一途だ。ある晩パトリックが帰宅途中のロベールを襲う。パトリッ クは川に頭を突っ込んで気絶し、ロベールは彼を川から引き出してやった。彼は頭から出血したまま、上機嫌でジュリエットに会って事情を語った。翌朝、パト リックの失踪が報道され、ローベルは早速警察に通報する。だが警視(ジャン=ピエール・カルフォン)は彼の証言を疑う。そのころパトリックはヴェロニクの 手配でパリに隠遁していた。彼にロベールについて色々吹き込んでけしかけたのも彼女だったのだ。ヴェロニクの現在の夫マルチェロ(パトリック・ケルブラ) は妻の計略に嫌気がさし、匿名を条件にロベールにパトリックの居場所を教える。ロベールは早速警察に通報するが、信用されない。ジュリエットまでがロベー ルを犯人だと信じ込み、自殺してしまう。そしてロベールの自宅が銃撃される。彼はパトリックの仕業だと確信するが、警視は彼の遺体が発見されたという。ロ ベールは再び自宅で銃撃され、腕に負傷する。それでも町の人々は彼を殺人犯だと思っている。彼を信じるのは銃撃の直前までいっしょにいた友人のジャック (ジャン=クロード・ルカ)と、三年前に妻を失ったという医師(ヴィクトール・ガリヴィエ)だけ。医師はこの家では危険だと彼を自宅に泊める。ところがそ の医師宅まで銃撃され、医師が瀕死の重傷を負った。通報したロベールは警察で警視に尋問されるが、そこへパトリックが逮捕されてきた。濡れ衣が晴れたロ ベールは傷ついた心を抱え、パリに引っ越すことにする。一方判事の友人である父(ジャック・ブリュネ)の尽力で仮釈放されたパトリックは、ついにマルチェ ロにも棄てられたヴェロニクとパリで会う。二人はヴィシーのロベールの家に押しかけて暴れ始める。そこへ重傷の医師がついに死んだと電話が入る。パトリッ クは殺人罪になるだろう。彼は包丁を手に暴れ出し、止めようとしたヴェロニクは首を刺されて死ぬ。パトリックもこと切れていた。ロベールの手はヴェロニク を介抱して血に汚れている。その手が思わず床に落ちた包丁に近づく。彼は必死で自分に言い聞かせる「触ってはいけない!」。手が包丁に触れる直前で、画面 はストップモーションに。
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