『オーケストラ・シート』の共同脚本家&出演者のクリストファー・トンプソン:インタビュー。
2000年の『ブッシュ・ド・ノエル/ Season's Beatings 』、2003年の『 Jet Lag』に続き、監督&脚本作『 モンテーニュ通りのカフェ 』がフランス映画祭で上映される運びとなったダニエル・トンプソン( Danièle Thompson )。この3作品の共同脚本家を務めたのが監督の愛息子であるクリストファー・トンプソン( Christopher Thompson )だ。今回の上映作品はパリ8区のカフェに集う人々が織りなすハートフルなコメディで、彼自身も重要な役で出演している。
Q=お母さまの作品は毎回、キャスティングに意外性があって面白いですね。
A=キャスティングに意外性があるということは作品にとって、とてもプラスになると思います。ただし、そのバランスは取らねばなりません。脚本に書かれた人物をパーフェクトに演じられるハマリ役の俳優を選ぶのか、意外性のある配役でプラスαを求めるのかは、難しいところですね。
Q=今回の配役もセシル・ドゥ・フランス( Cécile de France )、アルベール・デュポンテル( Albert Dupontel )、クロード・ブラッスール( Claude Brasseur )と意外性に満ちていますが、キャスティングにはクリストファーさんも関わっているのですか?
A=ええ。キャスティングに関しては、じっくり母と話し合いました。今回も意外性のある配役を求めてね。僕と母は、何でも歯にきぬ着せずに話し合える親密な仲なので、本当に言いたいことを言い合いましたよ(笑)。
Q=日本人の女性ジャーナリストも皮肉っぽく登場させていますね。
A=いや~、誤解なさらないでいただきたいのですが(笑)、あのシーンはスノッブな観客に囲まれて窮屈な思いをしているピアニストが、全てから解放されたくて取った態度なんです。待ってもらえと言ったのは、相手が日本人だからではありません(笑)。実際に、日本人ジャーナリストを目の前にした彼は、いつもなら周囲のしがらみがあって言えないようなショッキングな事も正直に答えています。彼の日常では考えられないような受け答えをね。
Q=ピアニスト役のアルベール・デュポンテルさんも素晴らしい俳優ですが、彼の実際のピアノ腕前は?
A=全く弾けなかったので、猛練習してもらいました(笑)。偉大なコンサート・ピアニストが特訓してくれたおかげで、何小節かを完璧に弾けるようになったんですよ。
Q=今回、貴方は脚本を手掛けただけでなく、セシル・ドゥ・フランス演じるジェシカと恋仲となるフレデリック役で出演していますね。おいしい役どころですが、この役は最初から自分で演じようと思って脚本を書いたのですか?
A=いつも色々な俳優の顔を思い浮かべながら脚本を書いていますが、“この人”と特定したことはありません。俳優の国籍さえもです。今回のフレデリック役は映画の後半から登場する役なのですが、脚本上に彼が出現した瞬間、僕は自分で演じたいという欲求にかられました。母も同意見でした。彼を監督の意図のままに演じられるのは僕だけだという自負もありました。
Q=フレデリック役を演じるにあたって難しかったシーンは?
A=今回は特にありませんでした。手前味噌になりますが、脚本が理路整然とした良いものでしたし、しかも共演者がクロード・ブラッスールやセシル・ドゥ・フランスという素晴らしい俳優揃いだったので、何の問題もなかっただけでなく、その反対に演じることの喜びを大いに感じましたよ。
Q=今後、お母さまと同様に監督業に進出するお気持ちは?
A=現在、俳優と脚本家の二足わらじを履いていますが、俳優の仕事と脚本の仕事は互いに良い相乗効果をもたらします。僕は映画製作における全ての側面が好きなんです。なので映画製作の始めから最後までに携われる監督という仕事に、いずれは就きたいと願っています。
French Film Festival in Japan - 2006 / 日本
(KIKKA)