あらすじ
ミラノ駅で、子供連れの男が誰かを待っていた。レイモン(スタン・クロール)だ。妻ともう一人の子供を連れたアベル・ダボス(リノ・ヴァンチュラ)が現れた。アベルとレイモンはギャングの相棒だ。欠席裁判で死刑を宣告され、逃げ廻っている。アベルは妻と二人の子持ちだ。彼らを先に汽車で発たせた後、アベルらは街頭で、郵便夫を襲い現金を奪った。車で非常線を巧みに突破し、妻たちの待つバンチミリヤに着いた。翌日、サン・レモから船をやとった。沖で、水夫を海中に放りこみ、レイモンが運転を始め、マントンへ向った。夜、その近くの入江に上陸した。その時、二人の税関警備隊に発見された。闇の中での射ち合い。妻テレーズとレイモンが倒れた。そして死んだ。アベルは慟こくした。二人の子供は眼を見はったままだ。--たちまち非常線が張られた。ラジオが放送した。“兇悪ギャング、アベルは二人の子を連れています"アベルはパリの昔の仲間に電話した。仲間は関係のないエリック(ジャン・ポール・ベルモンド)という独立愚連隊を寄こした。救急車にギ装した車にアベル親子を乗せパリへ引き返す途中、エリックは男と争っていたリリアンという劇団の若い娘を救った。彼女が看護婦を装ったお蔭で、非常線も突破できた。パリで再会を約して別れた。アベル親子を仲間は誰もかくまおうとせず、エリックが引き受けた。その前に、アベルは子供を博物館の案内人をしている、妻の父親夫婦にあずけた。--エリックはリリアンをたずね、二人は恋し合うようになった。アベルは子供の教育費と高飛びの費用を手に入れようとした。昔、恩をかけた盗品故売の宝石商を襲い、目的をはたした。--私立探偵がエリックをつけ始めた。例の宝石商と昔の仲間の一人の命令だった。アベルは、さらばと、その二人を殺した。仲間のもう一人が自分の命の保証と引きかえに、警察にアベルの居所を売った。--外から帰ってきたエリックが張込みの刑事に捕まった。アベルのいる部屋へ入るオトリにされた。知らせようとし、足を撃たれた。リリアンは叫んだ。アベルは逃げおおせた。昔の仲間の青年の部屋にかくまわれた。残った一人を殺すつもりだ。が、そこで読んだ新聞で殺した仲間の妻が心臓マヒで死んだことを知った。彼を不幸なおもいが押し包んだ。死んだ自分の妻のことが、残された子供のことが--。彼はかくれ家をあとに、パリの雑踏へさまよいでた。
Sourc...
クレジット
監督 (1)
俳優 (29)
映画製作・配給会社 (5)
- 製作代表 : Les Films Odéon, Mondex Films
- 共同製作 : Filmsonor Marceau
- 海外製作作品 : Zebra Film
- Film exports/foreign sales : STUDIO TF1 Distribution (ex-Newen Connect)
- フランス国内配給 : Cinédis
クレジットタイトル詳細 (15)
- Screenwriters : Claude Sautet, Pascal Jardin, José Giovanni
- せりふ作者 : José Giovanni
- フォトディレクター : Ghislain Cloquet
- 作曲家 : Georges Delerue
- 監督補佐 : Jean Lefèvre
- 編集担当 : Albert Jurgenson
- 録音技師 : Jacques Lebreton
- 原作者 : José Giovanni
- Producers : Robert Amon, Jean Darvey
- 撮影技師アシスタント : Jean-César Chiabaut, Pierre Goupil, François Lauliac
- 製作部長 : Jacques Planté
- スクリプト : Ginette Diamant-Berger
- 美術装飾 : Rino Mondellini
- スチールマン : Paul Apoteker
- 演出助手 : René Fargeas
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技術面詳細
- タイプ : 長編映画
- ジャンル : フィクション
- サブジャンル : フィルム・ノワール
- 言語 : フランス語
- 出身 : フランス, イタリア
- Original French-language productions : はい
興行収入・公開作品
ニュース&アワード
映画祭でのセレクション (4)
About
実在のギャング、アベル・ダノスをモデルとしたジョゼ・ジョヴァンニの原作小説を映画化した作品であり、“友情”と“裏切り”を鮮烈に描いた、いかにもフレンチ・ノワールらしい作品である。(映画ではアベル・ダノスの名前がアベル・ダヴォスと変えられています)
それにしても、この映画はいい。
我らがジャン=ピエール・メルヴィル監督が絶賛したことでも知られる作品だが、デビュー間もないクロード・ソーテ監督の見事な演出、それに、キャストの充実ぶりには目を見張る。
とりわけ、かつての仲間に邪険にされ、怒りに震えるアベル・ダヴォス役のリノ・ヴァンチュラが最高。
そして、『勝手にしやがれ』(59)でデビューしたばかりの若きジャン=ポール・ベルモンドが素晴らしい。
ヴァンチュラとベルモンドの友情関係がサラリと、それでいてなんとも義理深く描かれているのがこの映画の大きな魅力であり、この二人以外の脇役陣の層が厚いのもこの映画の優れた点である。
ことにサンドラ・ミーロが色気があって良く、ストーリー全体へのベルモンドとのロマンスの溶け込み具合が絶妙であるし、クロード・セルヴァル(メルヴィルの『賭博師ボブ』にも出演。ロシアのメドベージェフ大統領にそっくりだ!)、エメ・ド・マルシュ(『いぬ』『最後のアドレス』)の出演も個人的に嬉しい。
また、出番は少ないが、刑事役のジャック・ダクミーヌもいい。
この人は『殺られる』(59。エドゥアール・モリナロ監督)でのギャング役も良かったが、どこか30年代風な古風な顔立ちが魅力的な俳優だ。
他に、名優マルセル・ダリオ(『大いなる幻影』『ゲームの規則』)まで出演していることに驚かされるが、この人も出番は多くものの、さすがに上手い。
また、DVDの解説の山田宏一氏によると、ヴァンチュラの妻テレーズ役の女優(シモーヌ・フランス)はジョゼ・ジョヴァンニの実妹だという。
アパートの洗濯女もいい存在感だ。
ギスラン・クロケの撮影も魅力的だし、ジョルジュ・ドルリューの音楽もシンプルながら、効果的。
監督も迷ったというラストがアッサリし過ぎていて微妙と言えば微妙だが、この作品が傑作であるという事実に変わりはないと思う。
Source : melville.blog.shinobi.jp