海外でのフランス映画観客動員数が、初めてフランス国内の観客数を上回りました。
2005年のフランス映画は海外で7360万人の観客を動員、2004年と比較して49%の上昇
2005年、フランス映画は海外で総売上高3億6900万ユーロ、計7360万人を超える観客を動員しました。2004年には2億3960万ユーロ、4920万人を記録しており、1年間で49%の上昇が見られます。
初めてフランス映画のフランス国内観客数を大幅にリード
一方フランス国内では、2005年のフランス映画は6480万人を動員しました。海外での合計動員数と比較すると約12%劣りますが、総売上高においてはほぼ同額(約3億6000万ユーロ)を記録しました。
2005年のフランス映画劇場公開数:322
2005年にはフランス映画322作品が劇場公開されており、2004年度の330本とほぼ同数を記録しています。毎年フランスで製作される作品数(2004年203作品、2005年240作品)に対し、この高い数値は各国で公開時期のずれがあることから発生しています。
2005年、トップ10のうち7作品がフランス国内より海外でヒット
暦上の一年とは、ある一定の時期に全体的なビジョンを提供する写実的かつ統計的な単位に過ぎません。暦上の一年の枠を越えて公開される映画を個別に考慮すると、全く異なる結果となります。
事実国を変え、劇場を変え、一作品の海外での公開期間は1年を超えることがあります。そのため多くの作品は、フランス国内より海外で最終的により重要な興行成績を収めることになります。例えば「Fabuleux Destin d’Amelie Poulain / アメリ」(動員数2230万人、1億3300万ユーロ)や「Asterix et Obelix contre Cesar / アステリクスとオベリクス」(1500万人、7600万ユーロ)が挙げられます。
2005年では、「la Marche de l’Empereur / 皇帝ペンギン」(海外観客動員数1620万人、フランス国内180万人)、「le Transporteur 2 / トランスポーター2」(海外1100万人、フランス120万人)、「Haute tension / ハイテンション」(海外81万5千人、フランス11万人)のように、フランス製映画トップ10のうち7作品がフランスより海外で好成績を残しました。
フランス映画、アメリカで記録の年
2005年、フランス映画はアメリカで総売上1億2500万ユーロ(1億5000万ドル)という過去最高の記録を残しました。
昨年度のフランス映画からは、いくつかのヒット作が生まれています。前述の「皇帝ペンギン」は7500万ドル(5800万ユーロ)を超える売上を記録し、「Cinquieme Element / フィフス・エレメント」(6400万ドル)からタイトルを奪い、フランス映画のトップを飾っています。
「トランスポーター2」、「Danny the Dog / ダニー・ザ・ドッグ」のニ作品もそれぞれ総売上4300万ドル、2400万ドルの高スコアとなっています。「ハイテンション」「Un long dimanche de fiancailles / ロング・エンゲージメント」「Comme une image / みんな誰かの愛しい人」「les Choristes / コーラス」「De battre mon coeur s’est arrete / 真夜中のピアニスト」といった作品も、総売上100万~400万ドルの好成績を記録し、この例外的な一年に大いに貢献しました。
フランス映画の動員数は全体的に上昇傾向
2005年、世界的に映画館動員数の減少(10~20%)が見られる中、フランス映画に関しては向上しました。そのためフランス映画のマーケットシェア率も上昇しました。
この上昇傾向はヨーロッパ4大国を含む主要各国でうかがわれ、特にスペインで顕著です。その数、2004年動員数250万人、2005年7百万人(+168%)!イタリアでもフランス映画は290万人から74%増員の520万人へ、一方ドイツ(2004年動員数460万人から27%上昇で2005年は590万人、うち「皇帝ペンギン」に120万人)とイギリス(2004年60万人、2005年260万人)の両国でも素晴らしい一年となりました。
フランス語圏(ベルギー、スイス、ケベック)では、フランス映画の動員数は例年並の数値を記録しましたが、中国は7作品公開、動員数150万人を数え、いまやフランス映画にとって重要な国の一つとなっています。2005年で唯一残念なのはロシアです。フランス映画が5年に渡り上昇を続けたロシアでしたが、昨年は後退しています。
約50%の動員数を確保し、フランス映画の主要地域であり続けるヨーロッパ
アメリカは海外におけるフランス映画の成績の三分の一を占め、アジアは後退しています。ここ2年間、日本での成績は動員数約2百万人で落ち着いており、2003年に420万人(-45%)を記録した国としては今ひとつの数値です。フランス映画は、中国市場にますます進出を続けます(2003年動員数35万人、2004年160万人、2005年150万人)。なお韓国市場では2001年のフランス映画動員数220万人から2005年の30万人へと後退が見られます。
しかし、メキシコ、ブラジルでは動員数2百万人、アルゼンチンでは100万人を超えるなど、2005年のフランス映画は南アメリカで素晴らしい記録を残しています。
2005年は皇帝の年
2005年は「皇帝ペンギン」が世界的大成功を収めた一年です。
世界中で総売上7700万ユーロ、1600万人を超える動員数を記録したLuc Jacquet 監督による本作品は第一位「アメリ」と「アステリクスとオベリクス」の間につけ、ここ10年のうち海外で最も成功したフランス映画の一つとなりました。
アメリカの動員数1280万人、ドイツ120万人、イタリア60万人、さらには中国で40万人と、素晴らしい記録を残しています。
「トランスポーター2」から「真夜中のピアニスト」まで、15作品が動員数50万人を超える
アメリカや世界中の劇場で公開されたLuc Besson 製作による2作品「トランスポーター2」「ダニー・ザ・ドッグ」は、2005年フランスが多数派である合作の中でベストスコアを記録しました。その後にはフランス語作品「ロング・エンゲージメント」(390万人)、「コーラス」(2005年には260万人、ただし公開総計では500万人)が続きます。
海外で好成績を残した作品に関して。2005年、メキシコでは「Les Rivieres pourpres 2 - Les anges de l'Apocalypse / クリムゾン・リバー2黙示録の天使たち」(75万人)、イタリアでは「36, quai des Orfevres / 仮題:パリ警視庁」(18万人)、 「Cache」(22万人)、ドイツでは「L’ Equipier / 仮題:灯台守の恋」(17万人)、「Crustaces et coquillages / マリスコス・ビーチ」(12万人)、スペインでは「Saint Ange / 仮題:サンタンジュ」(30万人)、「Tout pour plaire / 35歳とサムシング」(20万人)、日本では「Arsene Lupin / ルパン」(14万人)、中国では「Double Zero / ダブル・ゼロ」(57万人)、トルコでは「L’ Empire des loups / エンパイア・オブ・ザ・ウルフ」(20万5千人)、アメリカとイギリスでは「真夜中のピアニスト」(それぞれ17万人、7万人)といった映画が素晴らしい成績を残しています。