今から10年前、フランス映画業界は海外におけるフランス映画の状況に関し、確かなデータを所持しておりませんでした。1995年以来、Unifrance はフランス映画が海外で収めた成績に関するデータベースを作成し、45カ国をカバーするこの映画成績表は、毎年一、二カ国ずつ範囲を広げています。
本年より、CNC - Centre National de la Cinematographie (フランス中央映画庁)がADEF - Association des Exportateurs de Films(映画輸出業者組合)、Unifrance、IFCIC - Institut pour le Financement du Cinema et des Industries Culturelles(映画、文化産業融資機関)の協力を得て実現した調査により、映画業界は2003年度のフランス映画輸出による総売上高を把握しています。 (1億8550万ユーロ、そのうち1億2300万ユーロは純粋なフランス映画)。
今年度はまた、フランス映画が海外で観光事業、製品消費に与えた影響に関して、Adefの提唱による Ifop初の調査がボックスオフィスと総売上高に加わります
世界の映画館で一日一本
2004年はフランス映画330作品が一地域で一度以上劇場公開されました。来る12月を考慮に入れた場合、世界のどこかで一年のうち毎日、新しいフランス映画がリリースされていることになります。毎年フランスで製作される映画数(2002年に200本、2003年に212本)からすると、この高い公開本数は、フランス映画の海外での上映期間に幅があることを意味しています。
2004年のベストフィルム10作品中6作品がフランス国内より海外で成功
暦上の一年は一定期間のグローバルなビジョンを提供する写実的、統計的単位にすぎません。一方個々に映画の上映期間を見た場合の一年間は幅があります。
映画の海外での上映期間は、リリースにリリースを重ね、国から国へと移動し、実際数年にわたることがあります。そんなわけで、数多くの作品は最終的にフランス国内より海外で好成績を収めることになるのです。
参考までに海外でのスコアの例を挙げると、「Le Fabuleux destin d’Amelie Poulain (アメリ)」(動員数2230万人、総売上1億3300万ユーロ)、「Asterix et Obelix contre Cesar(アステリクスとオベリクス)」(1500万人、7600万ユーロ)、「L’ Auberge espagnole (スパニッシュ・アパートメント)」(270万人、1360万ユーロ)、さらには「Swimming Pool(スイミング・プール)」(330万人、1760万ユーロ)が挙げられます。
2004年では、ベスト10作品中6本がそうです。「Deux freres (トゥー・ブラザーズ)」(海外での動員数520万人に対してフランスは330万人)、「les Rivieres pourpres 2 - Les anges de l'Apocalypse (クリムゾンリバー2、黙示録の天使たち)」(海外290万人、フランス210万人)、「Monsieur Ibrahim et les fleurs du Coran(イブラヒムおじさんとコーランの花たち)」(海外ではフランスの6倍の観客数)「les Triplettes de Belleville(ベルヴィル・ランデブー)」(海外2百万人、フランス87万5千人)。
2004年の世界の観客数4000万人…
2004年11月末までで、フランス映画は海外の映画館にて見積り合計3300万人を動員し、総売上1億7000万ユーロを記録しました。
2003年の同時期では、フランス映画は動員数3700万人、総売上2億5百万ユーロでした。
2003年から2004年では入場数、総売上において11%の減少が見られます。
まだ一ヶ月を残す2004年一年の成績への予想は、観客動員数4000万人、総売上約2億ユーロとされます。海外映画館におけるフランス映画のこの4000万人という記録は、過去10年間の平均的な記録の範疇に収まります。
年末スタートする有力映画と共に…
実際のところUnifrance の統計には未だ15カ国が含まれていませんが、有力映画Christophe Barratier作「Les Choristes(コーラス)」とJean-Pierre Jeunet作「Un long dimanche de fiancailles (ロング・エンゲージメント)」のニ作品は海外での上映がスタートしたところです。そんなわけで「コーラス」は目下販売された36カ国中わずか10カ国で公開されているに過ぎず、「ロング・エンゲージメント」はアメリカで公開がスタートしたばかりで、その他ではベルギーとスイスの国境を越えたにすぎません。
2作について述べたのは、まさにこのようなタイトルが毎年の成績を決定する要因となっているからです。この結果も合わせて、特にOlivier Marchal作「36 quai des orfevres 仮題:パリ警視庁」」、Philippe Haim作「les Daltons(仮題:ダルトン一家)」、Cedric Klapisch作「Les Poupees russes (仮題:ロシア人形)」、Louis Leterrier作「Danny the dog (仮題:ダニー・ザ・ドッグ)」、Gerard Jugnot 作「Boudu (仮題:ブドゥ)」、「Serge Frydman 作「Mon Ange (仮題:私の天使)」、Jerome Salle 作「Anthony Zimmer (仮題:アントニー・ツインマー)」、Michael Haneke 作「Cache (仮題:秘密)」、Chris Nahon 作「l’ Empire des loups (仮題:狼の帝国)」、Nicolas Vannier 作「le Dernier trappeur (仮題:最後の毛皮猟師)」、Gerard Pires 作「Double zero (仮題:ダブル・ゼロ)」と「Les Chevaliers du ciel (仮題:空の騎士)」、Cedric Kahn作「l’ Avion (仮題:飛行機)」等作品の海外の数多くの映画館リリースが予定されており、2005年には入場者数の上昇が期待されます。
フランス映画の道を再び歩むドイツと盛り上がりを欠くスペイン市場
細かく見ていくと、スペインとイギリスで動員数の弱さが見られます。
スペインでは「コーラス」が公開第一週目に動員数20万人で注目を集め悪循環を打破したとはいえ、市場は昨年同様、テレビ局による作品購入がないために部分的に盛り上がりを欠いています。2004年、スペインでは2003年の47作品に比べ、わずか27作品のフランス映画が公開されました。イギリスは英語以外の作品にとって非常に難しい市場(動員数60万人以下)であることが確認されています。
反対に、2004年頭角を現したのはドイツ(2003年と比較して+93%の成長率)、ベルギー(+49%)、スイス(+20%)の三国です。
全入場者数の50%を占めるヨーロッパは、フランス映画にとって主要な地域であり続け、Unifrance の2005年のプログラムもヨーロッパを優先させています。
ヨーロッパ以外では、2004年はアメリカと日本で大ヒット作がないために苦戦しました。アメリカでは、2003年のフランス映画ベスト4(Le Pianiste「戦場のピアニスト」、le Peuple migrateur「WATARIDORI」、「スイミング・プール」、「スパニッシュ・アパートメント」)が総売上5000万ユーロをもたらしましたが、2004年のベスト4(Alexander「アレクサンダー」、Deux freres「トゥー・ブラザーズ」、「ベルヴィル・ランデブー」、「イブラヒムおじさん」)の総売上は現時点で3900万ユーロのみとなっています。
日本でも同じ状況で、2004年のフランス映画ベスト3(「トゥー・ブラザーズ」、「クリムゾン・リバー2」、Immortel (Ad Vitam) 「ゴッド・ディーバ」)は現時点で総売上1200万ユーロを記録している一方、2003年のベスト3作品(「戦場のピアニスト」、Taxi 3 、Le Transporteur 「トランスポーター」)は総売上3500万ユーロでした。
2004年の中国での動員数2百万人
2004年の成績中特記すべきは、フランス映画の海外上映において重要な役割を果たす中国の登場です。中国の映画館では9作品(Michel Vaillant「ミシェル・ヴァイヨン」、Fanfan la tulipe「花咲ける騎士道」、「WATARIDORI」、「トゥー・ブラザーズ」、The Dancer「ダンサー」、「戦場のピアニスト」、「コーラス」、「クリムゾン・リバー2」、la Cible「ターゲット・爆破監禁事件inフランス」)が公開されて2百万の観客を動員し、フランス映画は未だ非常に閉鎖的な中国市場へ重要な初躍進を遂げることに成功しました。
ポイント
* 2003年度の輸出総額において最大となったドイツ、アメリカ、イタリア、日本の4ヶ国が2004年ボックスオフィスでもトップを飾っています。
* 2004年には、ポーランドで素晴らしいスコアとなった「RRRrrrr !!! 」(観客数18万2千人)、ドイツでの「Balzac et la petite tailleuse chinoise (ちいさな中国のお針子)」(27万人)、「ミシェル・ヴァイヨン」(45万1千人)等、上記の地域で例外的なロングランヒットが見られました。
* 2004年の暫定的な成績ランクのトップに位置するフランス多数派映画の5作品「トゥ・ブラザーズ」「クリムゾン・リバー2」「イブラヒムおじさん」「コーラス」「ベルヴィル・ランデブー」は、フランス語による作品です。
Unifrance の集計方法
Unifrance はCNCが認可するフランス映画の成績を考慮します。フランス以外の国の結果が集計されます。
2003年と2004年の比較に関しては、評価に役立つ標本はドイツ、オーストリア、アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、ブルガリア、カナダ、チリ、デンマーク、スペイン、アメリカ、フィンランド、ハンガリー、イタリア、日本、レバノン、メキシコ、ノルウェー、オランダ、ポーランド、ポルトガル、チェコ共和国、ルーマニア、イギリス、ロシア、スロバキア、スロベニア、スイスの30カ国のみから集計されます。これらの国々は、以前の記録が存在し、比較が可能なために選ばれました。Unifrance では民間企業による15あまりの映画成績表に登録しています。その他の情報は、関係各国の公共機関を通して、もしくは配給会社や輸出会社の申告により収集されます。
映画のランクチャートに関しては、2004年分として述べられた数値は1月1日から11月30日までのものです。2003年に公開が始まった映画に関しては、各映画の完全なスコアがその都度補足されています。