ヴァネッサ・パラディ主演の『モン・アンジュ』で監督デビューを果たしたセルジュ・フリードマン!:インタビュー。
パトリス・ルコント( Patrice Leconte )監督の『 ハーフ・ア・チャンス 』『橋の上の娘( 橋の上の娘 )』『歓楽通り』の脚本家として知られるセルジュ・フリードマン( Serge Frydman )がヴァネッサ・パラディ( Vanessa Paradis )の本格的スクリーン復帰作『モン・アンジュ』で監督デビューを飾った。製作を務めたのは『アリゾナ・ドリーム』『 Amelie 』の敏腕女性プロデューサー、クローディ・オサール( Claudie Ossard )。
Q=昨日、監督&脚本作『モン・アンジュ』が上映されましたが、観客の反応は如何でしたか?
A=実は観客と同じ会場で自分の作品を観たのは初めてなんです。その場で観客の反応がじかに分かるというのは、イイものですね。この映画を受け入れてもらって嬉しかったですし、観客の方々が私たちの作品について語って下さったことにも感動を受けました。
Q=本作で監督を務めることになった経緯を教えて下さい。
A=まずヴァネッサ・パラディから連絡が入り、彼女のために何か脚本を書いてくれないかと頼まれたんです。今までにも彼女が主演した『ハーフ・ア・チャンス』『橋の上の娘』の脚本を手掛けていたのですが、それらとは違った感じのモノをと所望されました。ストーリーを着想するよりも前に、最初のイメージとしてエルヴィス・プレスリーの歌と“飾り窓”にヴァネッサがたたずんでいる姿が浮かんできました。それは冒頭のシーンになるのですが、その段階でプロデューサーに電話をしました。まだストーリーはまだ決まってないけど、イメージとしてはこんな感じだとね。すると映画化のゴーサインが出ました。シナリオが出来上がり、プロデューサーに渡したところ、彼女から“監督”も依頼されたので、ウィと答えました。
Q=初体験の監督業は如何でしたか?
A=シナリオを書くのは1人で行う孤独な作業ですが、監督は集団の中で仕事をするわけですよね。なので、最初は戸惑いもありましたが、結果として80人にも及ぶスタッフと数ヶ月間に渡って仕事ができたことは実に楽しい経験となりました。何よりも俳優と現場で接することができたことが嬉しかったです。
Q=ヴァンサン・ロティエ( Vincent Rottiers )君の起用理由は?
A=ビリー役を探すのに600人以上の男の子に会ったんですが、ヴァンサンは僕が想定していた年齢よりも若かったんです。体格も想定していた人物よりも小柄で華奢でした。イメージが違ったので僕は最初、起用には反対したんです。ですが結局、彼を超える俳優は現れませんでした。彼のまなざし、話し方、演技に対する自信、そして何よりも圧倒的な存在感が起用の決め手となりました。ヴァネッサとの相性も抜群だったと思いますね。
Q=ヴァネッサ扮するコレットの元恋人役にスペイン人俳優のエドゥアルド・ノリエガ( Eduardo Noriega )を起用した理由は?
A=元恋人の出演シーンは短いのですが、コレットはいつも彼の話をしています。ヴァネッサの恋人役なので、彼女とバランスの取れる俳優でなければなりませんでした。全く無名の俳優では務まらない役なのです。ノリエガは二枚目で顔も知られていますし、彼のスペイン語訛りのアクセントも気に入りました。ちょっと何処だか分からない海辺の村のシーンで外国語のアクセントで話す男というのもポイント高いですよね(笑)。国や場所だとか時代を特定せずに、曖昧にしたのは意図的に行ったことです。どこでもない場所、ノーマンズランドで繰り広げられるポエティックな物語という印象を観客に与えたかったからです。
Q=今後も監督業と脚本家の二足わらじを履くおつもりですか?
A=はい、そのつもりです。自分の書いた脚本を自分が監督して撮るということを経験し、その快感を知ってしまったからには、自分のシナリオを他人に渡す気にはなれないでしょうから(笑)。
(KIKKA)