フレンチシネマにとって2003年の夏は、アメリカで最良のシーズンとなりました。多くのフランス映画が入場者数で素晴らしい記録を残しています。
Jacques Perrin 作 Le Peuple migrateur (邦題:WATARIDORI、興行収入760万ドル*)、Francois Ozon 作 Swimming Pool (スイミング・プール、650万ドル*)、Cedric Klapisch 作 L’ Auberge espagnole (ローベルジュ・エスパニョール、380万ドル*)、Patrice Leconte 作 L’ Homme du train (列車の男、240万ドル*)のフランス映画4作品は、4月以来既に合計2000万ドルの収益をアメリカのボックスオフィスにもたらしています。夏にはDaniele Thompson 作 Decalage horaire (邦題:シェフと素顔と、おいしい時間 興行収入51万2千ドル*)、Claude Berri 作 Une Femme de menage (家政婦、30万ドル*)、Claude Lelouch 作 And And Now... Ladies & Gentlemen (アンド・ナウ・レディース・アンド・ジェントルメン、14万9145ドル*)、Claire Denis 作 Vendredi soir (金曜の夜、10万2千ドル*)といった新しい作品が仲間入りしています。
Francois Ozon、Ludivine Sagnier、Juliette Binoche、Daniele Thompson、Alessandra Martines、Claude Lelouch の各人が出演、または監督作品を紹介するために現地へ赴いています。
今夏の成功により、素晴らしい一年の始まりは保証されています。Laetitia Colombani 作 A la folie, pas du tout ! (愛してる、愛してない) は100万ドル、Gaspar Noe 作 Irreversible (アレックス)は76万ドル*を記録しました。Roman Polanski 作 Le Pianiste (戦場のピアニスト)は、アカデミー賞で3部門(最優秀監督賞、最優秀脚本賞、Adrien Brody に最優秀主演男優賞 ) 賞を獲得したばかりか 、3300万ドルの収入を記録し、Luc Besson 作 Le Cinquieme element (フィフス・エレメント、660万ドル)、Jean-Pierre Jeunet 作 Le Fabuleux Destin d’Amelie Poulain (アメリ、340万ドル)に続き、アメリカで最も成功したフランス映画の第三位となっています。
夏も終わり、秋が始まる今の時期、Delphine Gleize 作 Carnages (仮題:殺戮)、Nicolas Philibert 作 Etre et avoir (ぼくの好きな先生)、Mahamet-Saleh Haroun 作 Abouna (仮題:我らが父)、Claude Chabrol 作 La Fleur du mal (悪の華)、Lucas Belvaux 作 La Trilogie (仮題:ベルヴォー三部作)の公開が予定されています。
Nicolas Philibert 監督は自作映画のプロモーションとニューヨーク近代美術館で行われた回顧展出席を兼ねて、6月初旬にニューヨークへ向かいました。またOlivier Assayas と Lucas Belvaux の二人は作品の公開開始時にアメリカ訪問を予定しています。
フランス語によるフランス映画の興行収入は、2002年は一年間で3600万ドルであったのに対し、2003年は1月から夏期までで、既に約2500万ドルを記録しています。58本のフランス映画、24本の共同制作による作品、というように今年アメリカは、ますますフランス製の作品を購入しています。
* 2003年8月14日時点の数値