あらすじ
20世紀初頭のブルターニュ地方に生きる農民たちの生活を描いた、クロード・シャブロル監督の全キャリアのなかでも特に異彩を放つ秀作。原作はピエール=ジャケ・ヘリアスの同名小説。映画は1908年から1918年までの10年間を切り取り、とある若い男女が出会い、結婚し、子供をもうけ、ごく普通の日常を紡いでいく姿を淡々と映しだす。一家の息子ピエール=ジャケが大人になり、少年時代を振り返るかたちでナレーターを務め、特にこれといったストーリーはないまま、ただ時の流れをたゆたうように映画はゆっくりと進む。平凡な一家族の肖像を中心に、その土地に生きる人々が長年守ってきた独特の風習や観念、生き方そのものが描かれていくのだ。
Source : simplydead.blog66.fc2.com
クレジット
監督 (1)
俳優 (17)
映画製作・配給会社 (4)
- 製作代表 : Bela Productions
- Co-productions : NPF Planfilm, TF1 Films Production
- Film exports/foreign sales : Tamasa Distribution
- フランス国内配給 : UGC Distribution
クレジットタイトル詳細 (18)
- 製作代表 : Georges De Beauregard
- シナリオライター : Daniel Boulanger
- フォトディレクター : Jean Rabier
- 作曲家 : Pierre Jansen
- Assistant directors : Marc Barbault, Philippe Charigot, Hugues De Rosière
- Editor : Monique Fardoulis
- 録音技師 : René Levert
- Costume designer : Magali Fustier
- 原作者 : Pierre-Jakez Hélias
- 撮影技師アシスタント : Jean-Marc Rabier
- 撮影技師 : Michel Thiriet
- 製作部長 : Pierre Gauchet
- Assistant editors : Brigitte Benard, Brigitte Grynblat
- Foley artist : André Naudin
- 美術装飾 : Hilton McConnico
- サウンド・ミキサー : Maurice Gilbert
- スチールマン : Roger Corbeau, Jean Garcenot
- Location managers : Patrick Millet, Joël Gautier
技術面詳細
- タイプ : 長編映画
- ジャンル : フィクション
- サブジャンル : ドラマ
- テーマ : 田園地帯
- 言語 : フランス語
- その他の国の共同制作者 : フランス
興行収入・公開作品
テレビ放送
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ニュース&アワード
About
画一化された近代文化とは全く異なる独特の生活様式と、絵画のように美しい映像が、観る者の目と心を捕えて離さない。本物の馬を買う金がないために自らの背中を「誇りの馬」と呼び、子や孫たちを何代も背負ってきた人々の朴訥とした暮らしは、しかし第一次世界大戦の勃発と共に変化を余儀なくされる。無垢なる時代の終焉は、やがて彼らの生きざまも滅びへと向かわせるのか……。映画は最後まで冷静な観察眼を貫きながら、どこか楽天的な明るさと優しさをもって幕を閉じる。春の祭りに湧く村人たちの行進を見送るエンディングには、作り手の彼らに対する敬意と慈しみが溢れていて感動的だ。
決してのどかで平和なだけではない農村のシビアな死生観や、この世とあの世が地続きであるかのようなフォークロア・ファンタジーの世界を、日常生活と等しく描くあたりがシャブロルらしい。貧困のために連鎖する自殺、災厄の象徴である「World Bitch(英語字幕はこういう表記だった。どう和訳したらいいんだろうか?)」という概念、死の淵から蘇った者たちの不可思議な逸話なども織り交ぜ、作品に奥行きを与えている。
製作は『気のいい女たち』(1960)『悪意の眼』(1961)『青髭』(1963)といった作品でシャブロルと組んできたジョルジュ・ド・ボールガール。脚本は『まぼろしの市街戦』(1966)のダニエル・ブーランジェと、シャブロルが共同で手がけた。ふたりはかつて超ユルユルのスパイコメディ『ジャガーの眼』(1966)で恐ろしいまでの相性の悪さを見せていたが、本作は彼らの資質がうまい具合に合致した成功作といえる。
息子ピエール=ジャケ役に扮する少年たちが凄くいい。ロナン・ユベール、アーメル・ユベールの兄弟が、それぞれ8歳と10歳のピエール=ジャケを演じている。若い父親ピエール=アラン役を演じたのは、フランソワ・クリュゼ。彼はシャブロルのお気に入りだったようで、本作のあとには『Les Fantomes du Chapelier』(1982)、『主婦マリーがしたこと』(1988)、『愛の地獄』(1994)、『Rien Ne Va Plus』(1997)に出演している。特に『愛の地獄』での妄執に取り憑かれた夫役は素晴らしかった。また、本作には『仕立て屋の恋』(1989)のミシェル・ブランも「小さな死からよみがえった男」という印象的なエピソードで顔を見せている。
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