宵 闇が港町に迫る頃。男の子のような服装をしたデデ(マリナ・ヴラディ)は、痴話喧嘩に狂う父と継母を残して街へ飛び出す。彼女が加わっている不良団は、波 止場の古い倉庫に本部を置いている。団長ルネ(ピエール・ヴァネック)は金髪の少年で十九歳、彼の下に十人あまりの少年少女が、煙草の闇取引やウィスキー の密輸に暗躍している。陰険な目付きの副官サラード(アンドレ・ルウィ)、税関吏の息子チョコット、会計係コンフィアンス、リュリュ……瞳の美しい姐御の デデ、彼女に片想いを寄せるジャン・ルウなど。悪質なサラードを除いては、稼ぎ溜めた金で売物に出ている白い船を買い、それに乗って貧しい生活から脱れよ うとあせっている子供達だ。その夜は、碇泊中の“グラスゴウ”号の水夫と示し合せて極上ウィスキーを幾箱か陸上げし、それを廃虚となったトーチカの中に穏 すのに成功。だが翌朝、流れて来たジプシーの一隊が、この空地に陣取った。ルネは仲間を従えて空地に来て、ジプシーに立退きを命じた。しかし彼等は当然の 権利と威嚇の前に平然。間もなく隠されたウィスキーを発見して大騒ぎになる。見張りのデデは、ジプシー青年ヴァニ(ジャンニ・エスポジト)に、品物には手 を触れないでと頼む。彼はデデを見詰めて承知する。ヴァニの烈しい視線に、デデは生れて始めて胸のときめきを感じた。その夜、ルネは例の件についてヴァニ と話し合うため、ウィスキー買取りを承知しているラピーヌ爺さんの酒場に来る。酒場の中で踊る男女の群。ヴァニはデデと踊り、やがて月光に照し出された波 止場を恋人のように肩を並べて歩いた。二人は明日の再会を約束して別れる。この頃、酒場には“ママ”と呼ばれるジプシーの老婆(ジャクリーヌ・モラーヌ) と、娘のサシャ(ベアトリス・アルタリバ)が乗りこみ、ルネはジプシーが約束に背いてウィスキーを手に入れたことを知る。不良達は激昂。だが誰も知らぬ間 に、サラードはサシャを倉庫に連れ込んで、ウィスキーの仕返しだと二人の仲間と暴行を加えた。泣きながら戻ったサシャを囲み、ジプシー達は復讐を誓う。翌 日、何も知らずに約束の場所に赴いたデデはジプシーにキャンプへ連れ去られ、不良団は仕返しとしてヴァニを倉庫に拉置散々に制裁を加える。だが気を失いか けた彼の言葉からサラードの仕業を知った一同は愕然。デデはサラードの顔に、ナイブで卑怯者の印を刻みつける。デデは意識を取り戻したヴァニを追う。ジプ シーはヴァニの恋人を受入れ、一隊の馬車は出発。空地で見送る仲間達に別れを告げるデデは、物かげに潜んだザラードのピストルに倒れ、ヴァニに抱かれて息 絶えた。不良団とジプシーは殺人者を追跡し、急報に接した港湾警備隊は起重機に逃げ上ったサラードを射殺しだ。ジプシーは再び出発。ヴァニは去る直前、デ デの死体をルネに手渡す。折柄、白い船が手に入ったという知らせ。だがルネや少年達の葬列は待ち構える警備隊員の方へ、黙々と進んだ。